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精神分析の終結のための基準について

メラニー・クライン著作集4巻「妄想的・分裂的世界」誠信書房外部リンクに収録されている「精神分析の終結のための基準について(1950)」を読んだ感想を書きます。

目次

  1. クラインの終結についての見解
  2. フロイトの終結についての見解
  3. 中断を通してコミュニケートされるもの

1.クラインの終結についての見解

 何事にも終わりというものはあり、それは精神分析といえども例外ではありません。クラインはこれまでの経験からクラインなりの終結の基準について本論文で述べています。簡単に要約すると、迫害不安と抑うつ不安が緩和され、自我の安定性と現実感が増大し、幻想生活と情緒を自由に体験する能力を得て、さらには喪の仕事が果たされること、を挙げています。本論文は6ページほどの短いもので、特に込み入った議論をすることもなく、クラインの考えを提示しているだけといった感じです。

2.フロイトの終結についての見解

 精神分析の終結というと真っ先に思い浮かべるのがフロイトの1939年「終わりのある分析と終わりのない分析外部リンク」です。フロイトは初期には精神分析が万能の方法であるといった万能的な考えを持っていたようです。しかし、さまざまな思想の変遷を経て、さらに徐々に自分自身の死が近づくにつれ、精神分析の限界を考えるようになったようです。その中で生み出されたのがこの論文です。ここでは精神分析の限界などについて書かれており、多少抑うつ的なトーンに彩られているのが特徴的です。精神分析は本当に役に立つのか?といった議論が延々とされています。

 フロイトは精神分析の終結についての延々と議論をし、自問自答し、限界があるのではないかといった結論を導き出しています。それは、クラインが「精神分析の終結のための基準について」で書いている楽観論と比較すると大きな開きが感じられます。誤解を恐れずに言えば、クラインの論文は万能感に満ちています。

3.中断を通してコミュニケートされるもの

 以前にどこかで触れましたが、終結は単なる時間の区切りであり、それ以上のものでもそれ以下のものでもないと考えます。中断、終了、終結は単に終わり方を分類しただけであり、その本質はもっと別のところにあるようにも思います。もっと言えば、終わり方はその人のありようの一部であり、それこそが分析の対象にもなるのかもしれないと思います。つまり、終わりを通してしかコミュニケートできないものがあるということです。例えば、ランクの出生外傷や分離のワークスルーなどもそれに含まれるでしょう。

 日本ではカウンセリングが中断することを否定的にみることが多いです。中断を恥ずかしいこととして、カウンセラーとしての未熟さの表れであるとして理解してしまうことがあります。ケース検討会などでも、中断を責めるコメンターやフロアの参加者がいたります。そうした意見はカウンセラーの自己愛を傷つけ、防衛的にさせるだけで、あまり良いことがないように思います。

 ケースが中断したことについて、思索を深め、それを通してクライエントさんから伝えられたものを噛みしめることが大事であり、それが今後の自身のカウンセリングにつながっていくものと思われます。

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公開:2018-02-14 更新:2018-05-14
読書  北川 清一郎

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