公認心理師によるカウンセリングの行く末
公認心理師法案が成立し、現在はカウンセリングなどの業務をどうするのかといった制度設計について議論や検討が行われています。
その中で公認心理師の訓練を専修学校でも行うことができるようになるかもしれないという話も上がってきています。今回はそのことについて書きます。
1.専修学校とは
まず公認心理師については下記に詳しく書いていますので、そこをご覧ください。
公認心理師の訓練について、検討会では専修学校でも可となるやもしれないという話があると聞きました。専修学校という名称を無知ながらあまり知らなかったので、あらためて調べてみました。
専修学校は専門課程、高等専門課程、一般課程に分類されるようです。
専門課程は高卒以上の学歴を持つ人が入れるもので、いわゆる専門学校と言われる学校です。高校専門課程は中卒以上の学歴を持つ人が入れるもので、専門の勉強と同時に高卒の資格が得られます。最後に一般課程は和裁・洋裁・美術・調理などの生活に関することを学ぶ学校で、学歴に関係なく入れます。
公認心理師の検討会で検討されている専修学校はこの3つの内のどれを指しているのか分からないのですが、そうした話が進んでいるようです。
2.カウンセリングは技術か?
しかし、いずれにせよカウンセリングなどの技術のみを身につけ、決まったマニュアルを覚えて、決まったとおりに実施する技術者という位置付けにするという趣旨の資格が目論まれているようです。
ただ、心理臨床やカウンセリングという営みはマニュアルの決まった適用を行うだけのものではないことは、あらゆる人が指摘する通りかと思います。研究という視点を持ち、あらたな枠組みを構築し、創造的に取り組むことが心理臨床やカウンセリングには含まれます。だからこそ、カウンセリングの訓練として個別に教育分析や個人分析、スーパービジョンを受けることが推奨されているのです。
そのため世界の多くの心理臨床やカウンセリングに関わる資格は博士課程、もしくは修士課程を必要条件としているのでしょう。そうした世界の趨勢とは異なる方向を今回の検討会は打ち出しました。
これは日本独自のオリジナリティ溢れる選択と言えます(皮肉を込めてます)。
3.臨床心理士の意義
ただ、こうした制度設計になるということは、公認心理師とは違う制度として、臨床心理士の重要性が反対に増すことも考えられます。窮地だからこそ、そこに活路が見出せることがあるのは、心理臨床やカウンセリングをしているとクライエントとの関係でしばしば体験することでしょう。
おそらく公認心理師の制度設計からするとその業務は心理検査、デイケアスタッフ、訪問看護付き添い、インテーカー、グループカウンセリング実施者、短時間短期間カウンセリング実施者程度になるのではないかと予測されます。
とすると、我々のような開業心理をしている臨床家などは、そうした公認心理師には実施困難なインテンシブなサイコセラピーやカウンセリングを提供する生業が反対に生きてくることも考えられます。
そして、そうした認識が浸透するようなカウンセリングの力量を高め、エビデンスを出し、広報に努めることが必要となるでしょうが。しかし、そうしたこともまた創造的な営みの中で生成されていく価値と未来はあると考えます。
公認心理師については下記に詳しく書いていますので、ご覧ください。