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被虐待児・虐待サバイバーのカウンセリングにおける反復

虐待を受けた人のカウンセリングを行うと、しばしば非常に混乱した状況に陥ります。虐待加害者との関係がカウンセラーとの関係で繰り返されるからです。ここではそうした繰り返しについて解説します。

1.カウンセリングに持ち込まれる反復

喧嘩をする男女

虐待や虐待サバイバーについての詳細は以下のページをまずはご覧ください。

多くの場合、被虐待児や虐待サバイバーとのカウンセリングでは、カウンセラーとクライエントの関係性は良好にはなりません。良好に見せかけて裏では疑心暗鬼や見下しがあったりもします。過酷な環境が安心できる関係を享受できなくさせてしまっているのでしょう

「虐待的人間関係」「外傷性転移」と専門的には言ったりもしますが、平たく言うと、過去の虐待者と同じような関係性をカウンセリング関係や心理療法関係に持ち込んでくることです。虐待関係を再現してしまうのです。

これは非常に苦しい、そして哀しいことです。なぜなら、良い関係を持とうとすればするほど悪い関係になってしまうからです。そこに根源的な苦しみがあるのでしょう

2.カウンセラーも心が動かされる

老婆

さらにはそうした関係性がカウンセリングに持ち込まれることにより、カウンセラーもそれなりに心を動かされます。クライエントの無力感を我がことのように感じてしまうこともあります。虐待者がクライエントにしたように、カウンセラーもクライエントに不利益なことをついしてしまいそうになります。クライエント以上に動揺することもあります。

我々、カウンセラーは教育分析や個人分析、スーパービジョンなどのトレーニングを受けているので、衝動的に行動はしませんし、あからさまに表情には出しませんし、涼しい顔をしていることが多いですが、心の中で動揺していることもあったりします

3.反復という希望

慰める

しかし、なぜ、このような関係を虐待サバイバーは繰り返し、再現しようとするのでしょうか。確定したことではありませんが、繰り返すことで、傷付きを癒し、関係をやり直そうのする希望の表れと理解できる部分もあります

もし仮にそうであれば、悪い関係になるから駄目なのではなく、悪い関係を敢えて引き受け、耐え抜き、生き延びることが必要なのでしょう。それが死んだ心を蘇生させることになるのかもしれません。

カウンセリングや心理療法の方法や目標にもよりますが、そうした持ち込まれた虐待関係を取り上げ、それに気付き、修復していくことが、どこかで必要となってきます。もしかしたら、それは数年ぐらいかかるような長いプロセスになるかもしれません。影響を受けやすい幼少期であれば尚更です

4.スーパービジョンで乗り越える

カウンセリングをする男女

こうしたカウンセリング関係は非常に苦しいものです。時としてカウンセラーも行動化してしまうかもしれません。しかし、そこで踏みとどまり、抱え続ける必要があります

そのためにカウンセラーはスーパービジョンなどを受ける必要があるのでしょう。スーパービジョンを受けることによって苦しい状況にも耐えることができ、クライエントを抱えることができます。そうしたスーパービジョンについては以下のページに詳しく書かれています。

(株)心理オフィスKではカウンセラーや対人援助職のためのスーパービジョンを行っています。スーパービジョンを希望される方は以下のボタンからお申し込みください。


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