優しいカウンセラーの功罪について
一般的なカウンセラーのイメージには優しいなどがあります。実際のカウンセリングではそうしたことが虚構である場合もあります。これらについて書いています。
1.カウンセラーのイメージ
カウンセラーの一般的なイメージにはどういうものが多いでしょうか。
- 優しい雰囲気
- 柔らかい表情
- にこやかな笑顔
- 受容的な話し口調
- 和んだ空気.etc
こういうところがよく言われるところだと思います。基本的にカウンセリングを仕事をするカウンセラーは人のために何かをしたいという思いが強いし、助けたい、癒したいという気持ちが強いと思います。そのため、上記のような印象を持つ人は多いかと思います。
2.カウンセリングにおける否定的な感情の表出
しかし、実際のカウンセリングの場ではそれだけで充分ということはありません。クライエントさんから酷い言葉を投げかけられたときにもお釈迦様のように受容できる人は良いかも知れないですが、なかなかそういうことはできないものです。
きちんとそういう怒りや攻撃性を投げかけてくるクライエントさんに向き合っていかねばなりません。時には厳しくならなければいけないときもあるし、場面によっては怒ることもあります。ビシっと対応せねばならない局面も多いと思います。
カウンセリングにおいて優しい対応、受容的な雰囲気は大切ですが、それが過剰だと、クライエントさんが本来持っている怒りや攻撃性を出しづらくなります。それらを出すことに罪悪感を抱くのかもしれません。また、カウンセラーが過剰に謝ったり、へりくだったり、取り繕ったりすると、本当は出したかった怒りを出せなくさせてしまいます。この本来的な怒りと攻撃性をカウンセリングの場でワークスルーしていくことが大事です。
3.カウンセラーの中立性
といっても、カウンセリングでカウンセラーがミスを全く謝らないとか、常にピリピリした雰囲気を出しておくというのもまた違います。つまり、あまり不自然に優しさも厳しさも出さずに、そのカウンセラーの本来の雰囲気のまま中立性を保つことが大事だと思います。カウンセラーは完璧なスクリーンになることはできませんが、それを目指すことは大事です。そのための訓練として教育分析や個人分析、スーパービジョンなどをカウンセラーは受けているのです。
上に書いたように過剰な優しさをだすカウンセラーはメシアコンプレックスや過剰な償い、罪悪感をクライエントさんに抱いているのかもしれないし、その背後にはカウンセラー自身の怒りや攻撃性を抑圧しているとも言えるかもしれません。
4.カウンセラーが提供できるもの
色々なクライエントさんがいますが、クライエントさんによってはカウンセリングでカウンセラーに優しさや共感や受容を求めることはありますし、それは間違いではないと思います。それまでに辛く苦しい経験をしており、今にも折れそうな思いできているので、そこでサポートしてもらいたいという気持ちはよく分かります。また、できればそれに応えていきたいとも思います。しかし、そういう気持ちを理解することと、現実的にそれを提供することとはまた違います。
クライエントさんの希望に沿わないということではないですが、優しい態度とにこやかな笑顔には功罪があるということを理解していくことがまずは大切だと思います。
カウンセリングについてさらに詳しいことを知りたい方は以下をご覧ください。