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スーパーヴィジョンとカウンセリング

関係性をめぐって

カウンセリングとスーパーヴィジョンは別のものであるが、いくつかの点で似通っているところもあります。それは長年続けていると関係性ということがクローズアップされてくるという点です。それについて考察してみます。

スーパーヴィジョンについては「スーパーヴィジョンとは」に詳しく解説しています。

1.スーパーヴィジョンの目的

私はその他多くのカウンセラーと同様にスーパーヴィジョンを長期間にわたって受けていました。これまで計5人の先生からで、長いのでは6~7年も受け続けていたことがあります。

当初はカウンセリングにおいて、ケースに対する見立てや介入などを一緒に検討してもらい、よりよい援助が出来るようにという目的ではじめました。それによって、色々と学んだことも多く、レベルアップはできてきたと思います、おそらく。

2.目的の変化

しかし、6~7年も続けていると、だいたい先生の視点や方法やコメントが見えてくるところもあり、目新しさもなくなってきます。同じ先生にスーパーヴィジョンを受けるのも2~3年がちょうど良いというのはきいたことがありますが、こういうことなのでしょう。スーパーヴィジョンを通して新しく学んでいくのであれば、もしかしたら別の先生にスーパーヴィジョンをお願いした方が良いのではないかとも思いますが、そんなにアッサリと簡単に割り切れるものではないようです。

というのも、ケースの見立てや介入を一緒に検討するという当初の目的以外にも目的ができてしまいます。それは、「先生に会いに行く」といった関係そのものが目的となっているのです。その気持ちは強く私の中に根付いています。

3.関係を求める関係

先生に定期的に会いに行き、そこでケースのことを話し合い、ケース以外の雑談を楽しみにし、顔を見るだけでなんだか心が安らぐ気持ちになります。これがクライエントさんがカウンセリングにおいてカウンセラーに向ける陽性転移なんだろうなとは理解できます。そして、スーパーヴィジョンが無くなると先生に忘れられるのではないか、嫌われるのではないか、といった陰性転移もあり、それがスーパーヴィジョンを継続させている要因とも言えます。

カウンセリングでも、なんらかの問題の解決や治療的な目標を取り決め、それを目指してクライエントさんとカウンセラーが力を合わせて取り組んでいきます。当初はそのような目標を設定し、契約を交わし、カウンセリングをしていても、これが数年という単位でカウンセリング関係が継続していると、その目標に到達するという気持ちが少し薄れ、カウンセラーに会いに行くことが目的となってくることもあります。これを倒錯的と言ったり、治療関係が防衛として機能していると理解することも可能かもしれません。

4.関係の取り扱い

この辺りをどのように治療的に取り扱っていくのかはカウンセラーにもよるでしょうが、正解はないのかもしれません。どのような対応をするにしても、関係性を求めるというカウンセリング関係になっているということに気付くとともに、そうさせているクライエントさんの深い部分でのコンプレックスや対人関係、対象関係が反復強迫としてあらわれていることを見極めていくことが大切だと思います。最近の流行でいえば「再演(エナクトメント)」というように言えるかもしれません。また、これはクライエントさんの内的世界の表現だけでなく、そこに反応しているカウンセラーの内的世界の表れではないかという視点を持つことも大切でしょう。

こうしてみると、スーパーヴィジョンでもカウンセリングでも、目標を決め、それを達成したらそれで終わり、というように簡単に機械的に割り切れるものではないのかもしれません。

5.スーパーヴィジョンの申し込み

当オフィスでは臨床心理士や公認心理師など対人援助職を行っている人に対してスーパーヴィジョンをしています。ご希望の方は以下のページを参照してお申し込みくださればと思います。

→教育分析やスーパーヴィジョン等の研修と訓練

【執筆者情報】

  • 北川 清一郎
  • 資格:臨床心理士、公認心理師、日本精神分析学会認定心理療法士など
  • 所属学会:日本心理臨床学会、日本精神分析学会、日本EMDR学会、日本臨床心理士会、日本公認心理師協会など
  • 役職:神奈川県臨床心理士会代議員、日本臨床心理士会委員などを歴任
  • 経歴:精神科や心療内科、教育センター、児童相談所、就労支援施設などでの臨床経験は約20年になる。また、臨床心理系の大学などでの非常勤講師を歴任。執筆した論文は多数。メディアや雑誌での出演経験も豊富。
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