認知行動療法の実施の流れ
認知行動療法には決まった手順や進め方があります。それに従うことで効果が発揮できます。この記事ではそのような認知行動療法の進め方について解説しています。
目次
1.認知行動療法の進め方
認知行動療法は以下のような流れで実施します。もちろん、個人によって状況や問題も違うので、柔軟に修正していくことも当然行われます。
- 問題のアセスメント・見立て
- 問題のメカニズムなどについての心理教育
- 目標の設定と技法の選択
- 認知行動療法の段階的な実施
- 実施した結果の評価
- 再発防止の方法の設定
- 認知行動療法の終了
おおまかには、このような流れで認知行動療法を実施します。以下の項目で、それぞれについて少し詳しく説明していきます。
(1)問題のアセスメント・見立て
アセスメント・見立てとは問題のメカニズムについて推定することを指します。医学における診断という意味と似ているかと思います。
アセスメント・見立ての具体的な進め方は、困っている事柄や苦しんでいる症状などについてお話を伺います。そこで聞き取った内容を認知行動療法の基本モデルに照らし合わせて、整理し、どこに悪循環が生じているのかを見つけていきます。
また、この時に、話をするだけではなく、心理検査や症状を測定するテストなどを実施し、数値に出しておくことも行います。
これが、1回の面接で終わることもあれば、数回の面接で行っていく場合もあります。
(2)問題のメカニズムなどについての心理教育
アセスメント・見立てで見えてきたことをクライエントに説明し、理解してもらいます。ご自身の問題や症状がどういった経緯で発生し、どういった悪循環が生じ、どういった事態になってしまっているのかについて、まずは分かってもらう必要があります。
問題が分かると、次に何をすればよいのかが見えてきます。
(3)目標の設定と技法の選択
認知行動療法の目標を設定します。この目標は短期的なものから長期的なものまで複数ある方が良いでしょう。なぜなら、あまりにも遠くて、理想的な目標を立てても、そこに到達するまでに時間がかかりすぎますし、時間がかかるとモチベーションも徐々に落ちてしまいます。
ですので、短期的、中期的、長期的な目標をそれぞれ設定し、少しずつ取り組めるようにします。これをスモールステップと言います。
そして、こうした目標を達成するために、どういう認知行動療法の技法を実施すれば良いのかを選択します。認知行動療法の技法はたくさんあるので、何が適しているのかを相談しながら決めていきます。
(4)認知行動療法の段階的な実施
選択した認知行動療法の技法を繰り返し実施し、問題が解決していくように取り組んでいきます。多くの場合は、1~2回実施しただけですぐに解決することはありません。何度も何度も繰り返し実施します。問題の大きさによっては数週間から数ヶ月が必要になることもあるかもしれません。
また、面接の中だけではなく、ホームワークといって、自宅や職場、学校などでも実施します。問題の多くは日常生活の中で生じているので、こうしたことも必要になってきます。
(5)実施した結果の評価
認知行動療法を段階的に実施したあと、どのように問題や症状は変化したのかについて評価をします。
この評価は主観的な感覚だけではなく、心理検査や症状を測定するテストなど客観的な方法も用います。アセスメント・見立てで測定した数値と、認知行動療法を実施した後の数値を比較し、良くなっているかどうかを評価します。
この数値によっては、さらに認知行動療法を実施することもありますし、一度アセスメント・見立てや技法の選択に立ち戻って、方法を修正することもあります。
(6)再発防止の方法の設定
最初の問題や症状がある程度落ち着き、日常生活の困り事が無くなった後は、再発防止の方法を設定します。
困り事が無くなったら終わりではなく、今後の生活や人生のなかで再発・ぶり返しがないわけではありません。もし仮に、そうした再発があったとしても、自分自身でそれを乗り越えられるのが一番良いでしょう。そのための方法を作って置き、持っておくことはとても大切です。
(7)認知行動療法の終了
認知行動療法を実施し、問題も解決し、再発防止の方法も設定できると、認知行動療法も終了となります。この認知行動療法では何が良かったのか、反対に何が悪かったのか、何が達成できて、何が達成できなかったのか、などについて整理します。
また終了した後、時にはフォローアップ面接などをし、再発していないかどうか、効果が持続しているかどうかを確認することもあります。もし何か問題があれば、追加の面接を行い、事態が悪化する前に対処します。
2.認知行動療法についてのトピック
3.認知行動療法をうけたい
認知行動療法を実施した際の流れやプロセスについて説明しました。個々人によって多少は変動しますが、概ねこのような感じです。このような認知行動療法を受けたいと思われた方は以下の申し込みフォームからお問い合わせください。