カウンセラーになるための訓練と資格
カウンセリングを行えるようになるためには一定の知識と技術が必要になってきます。以下にカウンセラーになるための訓練と資格について書いています。
目次
1.カウンセラーの訓練
カウンセラーの訓練には主に座学(読書やセミナー)、スーパービジョン、教育分析(個人分析)の3つがあります。その他にも、音楽、絵画、小説、映画、漫画といった芸術に触れ、感性を磨くこともカウンセラーの糧になるでしょう。
(1)読書やセミナー
専門書を読んだり、セミナーや研究会に参加し、カウンセリングなどについての知識を得ることは非常に重要です。その他にも、事例検討会などに参加をし、人の事例を聞き、そこで考えたり、討論したりすることも訓練となります。
以下は当オフィスで定期的に開催しているセミナーです。
(2)実習
読書やセミナーでは知的な学習はできますが、それのみだと実体験の乏しいものになってしまいます。臨床心理士養成の大学院などでは教育分野、医療分野、福祉分野などに実際に出向き、そこでの実習を義務付けられています。そうした実習をとおして、実地で、体験的に学ぶことは非常に意味のあることでしょう。
以下の書籍はタイトルの通り、臨床心理士養成の院生のために書かれた精神科の実習について詳細に書かれています。
(3)スーパービジョン
自分自身が行ったカウンセリングの記録を指導者やベテランのカウンセラーに聞いてもらい、助言をもらったり、指導してもらったりすることです。これには個人で受けるものと、集団で受けるものがあります。
スーパービジョンの詳細は以下をご参照ください。
(4)教育分析、個人分析
精神分析では必須の訓練ですが、カウンセラーの訓練としても有効です。カウンセラー自身がカウンセリングを受け、自分自身の性格、生い立ち、特性、性質などについての理解を深めます。それによって、個人的な感情や思いに左右されず、冷静にカウンセリングに臨むことができるようになります。精神分析的に言うと、逆転移を抑制したり、活用したりするといえるでしょう。
教育分析について以下に詳細に書いています。
2.カウンセラーの資格
カウンセラーの資格は多数ありますが、主に信頼できるのが臨床心理士で、その次に公認心理師になります。
(1)玉石混交のカウンセラー資格
カウンセラーは職業名なので、何の資格がなくても、極端には何の訓練を積んでいなくてもカウンセラーを名乗ること自体は可能であり、倫理的には問題はあったとしても、法的には違法ではありません。また、カウンセラーに関する資格は無数にあり、中には数回の講座に出席しただけで取得できるような資格もあります。もちろん、そうした資格の効用や意義には疑問がありますが。
ある程度、信用ある学会や団体が発行している資格には、臨床心理士、産業カウンセラー、臨床発達心理士、日本精神分析学会認定心理療法士などがあります。
(2)臨床心理士
臨床心理士とは心理療法、心理アセスメント、地域援助、臨床研究の4つを中心的な業務とする心理臨床のエキスパートの資格です。臨床心理士になるためには、臨床心理士養成大学院で2年以上在籍し、必要な単位を取り、実習をこなし、修士論文を書いた上で修了し、その上で、筆記と面接による資格認定試験を合格した人に与えられる資格です。
臨床心理士は1988年に創設され、それから30年以上の歴史があり、日本のカウンセリングやメンタルヘルスに多大な貢献をしてきた資格で、もっとも信頼できる日本のカウンセラーとしての資格です。
臨床心理士については以下のページに詳しく書いているので、参照してもらえたらと思います。
(3)公認心理師
公認心理師とはカウンセラーの資格としては初めての国家資格で、平成27年9月9日に公認心理師法案が成立し、平成29年9月15日に施行されました。これによって、日本で初めてカウンセラーの資格が国家資格ができました。ただ、受験資格など当初よりも非常に低いハードルのものとなっており、その意味で質や技量に難題を残しています。しかし、それでも、国家資格ということで、病院や学校といった公的な機関でのカウンセラーは多かれ少なかれ、この公認心理師の資格が必要になってくると思われます。
公認心理師については下記の8つの記事に詳しく書いているので、ご参照ください。
- 公認心理師とは
- 公認心理師の今後の雇用と収入
- 大学院の単位では公認心理師を受験できない人のために
- 公認心理師の現任者の問題点
- 公認心理師によるカウンセリングの行く末
- 公認心理師法案について
- 公認心理師資格の成立によって医療保険はどう変わるか
3.カウンセリングを受けたい人へ
カウンセラーは長時間の渡る訓練を受け、また一定水準のレベルに達しているかどうかの試験を受けて資格を取得する必要があります。法的には誰でもカウンセラーを名乗れてしまうため、一定水準よりも上にいることを証明する必要があります。
当オフィスのカウンセラーは全て臨床心理士や公認心理師の資格を持っています。そうした当オフィスでカウンセリングを受けたい方は以下からお申し込みください。
また、カウンセリングの実際や詳細については以下のページをお読みください。