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発達障害に対する医療的なケア

発達障害も診ますよ

本邦において、発達障害に対する認知度の高まりもあり、その診断される割合は年々増加しています。諸外国では発達障害は「神経発達症」と称し、「特定の知的・運動的・社会的機能の獲得や実行における顕著な困難さを伴う、発達期に認められる行動や認知の不全」と定義されています。

発達障害は、自閉スペクトラム症(ASD)・注意欠陥多動性障害(ADHD)・学習障害(LD)・発達性協調運動障害(DCD)の4つに分類されます。いずれも、原因は解明されていないものの、中枢神経系に何らかの機能障害やアンバランスの関連が示唆され、複数のカテゴリーが併存していることも珍しくありません。

今回の記事では、4つのカテゴリーの典型的な医療的なケアについて解説します。

1.発達障害のそれぞれの特徴

(1)自閉スペクトラム症

自閉スペクトラム症は、「社会的コミュニケーション障害」と「限定された興味もしくは行動」を特徴とする疾患です。

社会的コミュニケーション障害として、具体的に「表情が乏しい」「他人の感情を理解できない」「アイコンタクトができない」などの症状がみられます。また興味もしくは行動が限定されるため、「意味のない行動を繰り返す」、「決まりごとを忠実に守る・変化に対応できず、小さな変化に敏感である」などの特徴がみられます。

その他に、言語発達の遅れ(発語の少なさ、指示理解の悪さなど)が高頻度にみられます。集団生活において社会的な不適応がみられたり、知覚刺激に対して異常に過敏な反応を示したりもします。言語面の遅れがない高機能自閉症はアスペルガー症候群と称されています。

自閉スペクトラム症の詳しい説明は以下のページをご覧ください。

自閉スペクトラム症(ASD)
自閉スペクトラム症とは、社会性の障害、コミュニケーションの障害、想像力の障害、感覚過敏などの特徴をもつ発達障害のなかの一つです。

(2)注意欠陥多動性障害

注意欠陥多動性障害は,「不注意症状」と「多動性もしくは衝動性」を特徴とする疾患であり、幼稚園に入園する頃までには症状が顕在化することが多いです。

特に不注意症状として、「集中力を持続できない」「指示や説明をしっかりと聞くことができない」「すぐに違うことを始める」「物をすぐになくす」などの問題行動がみられます。多動性もしくは衝動性によって、「常に動き回る」「多弁である」「考えずに行動してしまう」「順番を待つことができない」などの特徴がみられます。

その他の特徴として、巧緻運動障害,姿勢コントロール障害,運動のタイミングやリズム感の悪さもみられます。成人になるにつれ、多動性や衝動性は軽減するものの、不注意症状が優位に目立ってくることが多いです。

注意欠陥多動性障害の詳しい説明は以下のページをご覧ください。

注意欠陥多動性障害(ADHD)
注意欠陥・多動性障害(ADHD)とは不注意、衝動性、多動性の問題をもつ発達障害の中の1つです。注意欠陥・多動性障害は脳機能の障害であり、能力のアンバランスが特徴です。落ち着きなく動き回ったり、落とし物や忘れ物が多いなどの症状があります。

(3)学習障害

全般的な知的能力には問題がないにも関わらず、読み書きや算数などの特定分野の学習に著しい困難が見られます。主に、読字障害、書字障害、算数障害がよく知られています。自閉スペクトラム症、注意欠陥多動性障害と単一もしくは複数の学習障害を併存することも少なくありません。

学習障害の詳しい説明は以下のページをご覧ください。

学習障害(LD)
学習障害とは聞く、話す、読む、書く、計算する、推論するといった能力の一部が非常に低く、学習や仕事に著しい困難を示してしまう障害です。学習障害は先天的な障害ですが、治療やカウンセリングによって相当程度、成長していくことができます。

(4)発達性協調運動障害

発達性協調運動障害は身体機能や認知機能には異常を認めないにも関わらず年齢や技能学習の程度から考えて、協調運動技能の獲得や遂行が明らかに劣っている状態を指します。

これは,知覚から得た感覚情報を統合して、自ら運動を計画しそれを運動として出力する能力の障害です。「うまく字を書けない」「箸をうまく使えない」「ボール遊びができない」「よく転ぶ」などの症状がみられます。

2.発達障害に用いられる検査方法

発達障害の診断に用いられる検査を、スクリーニング検査と疾患別(ASD/ADHD)検査として列挙します。

検査の名称検査の特徴
ウェクスラー幼児用知能検査(WPPSI-3)/ウェクスラー児童用知能検査(WISC-4)全般的な知的能力(知能指数)の評価方法であり、未就学児にはWPPSIが、小中学生にはWISCが用いられます。
Japanese Miller Assessment for Preschoolers(JMAP)幼児に対する発達障害のスクリーニング検査であり、基礎能力・協調能力・言語能力・非言語的認知能力,複合能力を評価します。
Japanese Playful Assessment for Neuropsychological abilities(JPAN)感覚統合と行為機能を評価するための検査で、姿勢/平衡機能検査,体性感覚機能検査,行為機能検査,視知覚検査から構成される合計32項目の検査です。
Modified-Checklist for Autism in Toddlers(M-CHAT)自閉スペクトラム症のスクリーニング検査であり,保護者に普段の児童の様子を尋ねる質問紙評価として行われます。
Parent-inter- view ASD Rating Scale-Text Revision(PARS-TR)自閉スペクトラムのスクリーニング検査であり,児童の現在の様子のみならず幼児期の症状について保護者が回答します。
ADHD-Rating Scale(ADHD-RS)5~18歳を対象とした18の項目から構成されます。注意欠陥多動性障害のスクリーニング検査であり,評価においては不注意と多動性/衝動性の症状が交互に質問されます。

3.発達障害に対する治療

感覚統合療法、social skills training、認知行動療法、運動療法、薬物療法などが広く行われています。

治療法特徴
感覚統合療法感覚情報処理能力を改善させることで脳の発達を促す治療方法です。発達障害患者では感覚情報を処理する能力が障害されており、その結果感覚刺激が正しく脳に届かず脳の発育が障害されるとの考えに基づいた治療の手法です。
Social skills trainingコミュニケーション能力や相手の気持ちを読み取る方法など社会的に必要とされる能力が訓練することを目的に行います。
認知行動療法認知に働きかけ、修正することで、行動の改善を図る治療方法です。合理的で、機能的なな考え方を身につけて、感情のコントロール方法を学ばせることで行動を具体的に改善します。
運動療法発達性協調運動障害に対する有用性が示されています。すなわち、発達性協調運動障害においては、運動療法で固有感覚を鍛えて補足運動野を活性化させます。こうしたことを通して発達性協調運動障害の改善が得られると考えられています。
薬物療法特に注意欠陥多動性障害に対して有用性が示されており、現在4薬剤が使用されています。ストラテラ・コンサータ・インチュニブ・ビバンセですが、作用機序は、いずれも脳内ノルアドレナリンもしくはドパミン濃度を高める作用をもって投与されます。その他のカテゴリーの発達障害には現在のところ有用とされる薬剤は確立されていません。

4.発達障害の検査を受け、相談をするには

発達障害と健常人との境界は明確なものではありません。医療の介入の観点から、大切なことは「生活の支障の程度と周囲への影響」を総合的に判断することです。発達障害に対しては、医療的なケアの中心は精神科や心療内科でありますが、臨床心理士や親・教師など周囲の方々と包括的にアプローチしていくことが重要です。

また、発達障害についての検査や相談を当オフィスでは行っております。検査や相談のご希望の方は以下のページからお申し込みください。

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【執筆者情報】

  • 北川 清一郎
  • 資格:臨床心理士、公認心理師、日本精神分析学会認定心理療法士など
  • 所属学会:日本心理臨床学会、日本精神分析学会、日本EMDR学会、日本臨床心理士会、日本公認心理師協会など
  • 役職:神奈川県臨床心理士会代議員、日本臨床心理士会委員などを歴任
  • 経歴:精神科や心療内科、教育センター、児童相談所、就労支援施設などでの臨床経験は約20年になる。また、臨床心理系の大学などでの非常勤講師を歴任。執筆した論文は多数。メディアや雑誌での出演経験も豊富。
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