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愛着障害におけるカウンセラーの心構え

愛情をくれない?

愛着障害の支援や治療、カウンセリングに置いて、カウンセラーが考えておくべき姿勢や心構えについて書いています。重要な点はクライエントが愛情を求めているからといって愛情を提供することが支援や治療にはなりえないということです

1.愛情剥奪の反復

山と女性

愛着障害の方とのカウンセリングや心理療法の中で愛情剥奪について、あれこれと話し合い、思いを巡らし、その哀しみを十分に体験することが何らかの役にたつように思いますし、そうした事例に幾度も出会ってきました。

しかしながら、それはカウンセリングや心理療法の中で愛情を与えることや愛情を体験することを目指すのではありません。その逆だと私は考えています。つまり、愛情が感じられないこと、信頼を持てないこと、怒りを感じること、恨みを感じること、猜疑的になること、不安になること、依存したくなること、等、そのようなネガティブな情緒を扱っていくことがカウンセリング・心理療法でできることでしょう

もう少し言うと、カウンセラーとクライエントとの関係が、そのようなネガティブなものが渦巻くようになることが必要となるのです。そして、それについて真摯に向き合っていくことです。そのために、カウンセラーは平静さを保つために、教育分析や個人分析、スーパーヴィジョンを受ける必要があります。

これはよくよく考えてみれば当然のことなのですが、人と人との関係に信頼を置くことができないのであれば、同様にカウンセラーとの間でも同じことが起きます。しかし、それが起きることがマズいことではありません。マズいのは、そのような関係になっていることを認識できなかったり、話し合えなかったり、表面的にニコニコしたりすることです

2.愛着障害と負の能力

自転車を押す男性

カウンセラーとクライエントがネガティブな関係になっていることを話し合いの土台に乗せ、それがどのような意味を持つのかについて二人で考えていく作業が心理療法的、カウンセリング的に必要になってきます。そして、そのような作業こそが、クライエントの行動や思考、生き方の軸となっていきます。

違う言葉で表現すれば、ネガティブな関係を生き抜くことがクライエントの底力になります。ケーパーというアメリカの精神分析家はこれを「ネガティブケーパヴィリティー」と言っています。日本語に訳すと、否定的な事柄に耐えれる能力、となります。

これは単に愛情を与えておけばよいという単純な話ではありません。

愛情がなかったかもしれないし、剥奪されていたのかもしれないし、その傷つきは癒されることはないかもしれないけど、そのような人生も全部ひっくるめて抱えて生きていけるようになることを、カウンセリング・心理療法では援助していきます

3.理不尽な人生を生きて

横を見る男性

考えてみれば、どのような人にとっても人生や社会は理不尽なものにまみれていますし、決して思い通りになることばかりではありません。時には個人の力では何ともしようがないこともたくさん起きます。そうした時にでも何とか生きていかねばならないのが人生だと思います

そうしたことに寄り添うことがカウンセラーの仕事です。寄り添うとは言葉で言うのはとても簡単ですが、それを実践することは非常に骨の折れることです。

そのために一人で耐えるだけではなく、スーパーヴィジョンや教育分析を受け、カウンセラーがしっかりと支えられる必要があります。

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【執筆者情報】

  • 北川 清一郎
  • 資格:臨床心理士、公認心理師、日本精神分析学会認定心理療法士など
  • 所属学会:日本心理臨床学会、日本精神分析学会、日本EMDR学会、日本臨床心理士会、日本公認心理師協会など
  • 役職:神奈川県臨床心理士会代議員、日本臨床心理士会委員などを歴任
  • 経歴:精神科や心療内科、教育センター、児童相談所、就労支援施設などでの臨床経験は約20年になる。また、臨床心理系の大学などでの非常勤講師を歴任。執筆した論文は多数。メディアや雑誌での出演経験も豊富。
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