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アダルトチルドレンからの回復

様々な支援や治療、カウンセリングによってアダルトチルドレンから回復していくと以下のような変化があらわれてきます。

アダルトチルドレンとは

アダルトチルドレンとは、幼少期に親や家庭からの不適切な養育を受けた結果、大人になっても人間関係や精神面で生きづらさが続く状態を指します。これは正式な診断名ではありませんが、「機能不全家族」と呼ばれる、愛情や安全感が十分に得られない環境で育つことで、自己肯定感の低さや、対人関係での極端な振る舞い、精神疾患のリスクなどを抱えることが多いという特徴があります。

こうした生育背景の影響から、アダルトチルドレンは精神的に不安定になったり、衝動的な行動を取ったりすることもある一方で、生きづらさの原因を自覚し、回復に向けて歩む人も少なくありません。回復の過程では、自分の良い自己像づくり、適切な人間関係の構築、親との心の距離の整理、生きがいややりがいを再び感じるようになることが目指されます。

カウンセリングによって感情や過去を整理し、新たな認識や安心感を得るプロ セスを通して、アダルトチルドレンの状態から回復し、自分らしく生きる力を取り戻すことが可能です。

よくある相談の例(モデルケース)

20歳代 女性

Aさんは20歳代の女性で、幼少期から両親の不仲と母親の感情的な叱責の中で育ちました。父親は仕事で不在がちで、母親の機嫌を損ねないように振る舞うことが日常でした。泣きたいときも我慢し、母親を怒らせないように家事を手伝ったり、弟の世話をしたりすることで家庭の均衡を保とうとしていました。思春期になると、自分の感情を表現するのが苦手になり、友人関係でも相手に合わせすぎて疲れ果てることが増えました。大学進学後、恋愛関係で相手に過度に依存してしまい、相手の顔色ばかりうかがう関係が続いた末に別れを経験し、自分には価値がないと強く感じるようになりました。食欲が落ち、眠れない日が続いたため心療内科を受診し、抑うつ状態と診断されました。

薬で一時的に眠れるようになったものの、自分の生きづらさの根本には手が届かないと感じ、Aさんはカウンセリングを申し込みました。初期の面接では、自分が常に「いい子」でいなければならないと感じていたことや、母親の顔色を読んで過ごしてきた過去を丁寧に語ることから始めました。カウンセリングを続けるうちに、怒りや悲しみといった感情を安全な場で表現する練習を重ね、次第に自分の本音を受け止められるようになっていきました。カウンセラーとともに境界線を意識する練習や、相手に頼るときに罪悪感を持たずに言葉にする方法を身につけることで、少しずつ対人関係のパターンが変わっていきました。

数年のプロセスを経て、Aさんは過去の家庭環境が自分の対人関係に与えていた影響を理解し、「私は価値がない」という思い込みが和らぎました。現在では人間関係の中で無理をして合わせすぎることが減り、自分のペースで生活できる時間も確保できるようになっています。恋愛や友人関係でも以前より安定し、自己肯定感がゆっくりと回復してきました。

良い自己像を育つ

アダルトチルドレンの方はほとんどの場合、自己評価や自尊心が低く、自分自身と良いものと思えないようです。非常に悪い存在であると体験し、そのため、過度に評価を気にしてしまったり、反対に悪い行動をして他者からの評価を落とすことによって「やっぱりそうだ」ということを再認識しようとしてしまいます。

治療やカウンセリングをとおして、自分自身にも良いところがあると発見したり、他者から尊重されるという体験をとおして、自分を大切に思えるようになったりします。それはこれまで成長が停滞してしまっていた、もしくは過去に置き去りにされていた良い自己像を再度成長させることといえるでしょう。

そして、自分自身を大切にできるような考えや振る舞いができるようになっていきます。

Aさんは、カウンセリングの中で「自分はダメだ」という思い込みを少しずつ手放し、長所や努力してきたことを認められるようになりました。小さな成功体験を積むことで、肯定的な自己像が育ちました。

適切な人間関係を生きる

アダルトチルドレンの方は支配的な関係や、暴力的な関係、共依存的な関係に陥ってしまうことが多々あります。それは過去のトラウマの反復といえる場合もあります。そうした関係が反復することにより、さらに新たな傷つきやトラウマが上乗せされ、事態はもっと悪化してしまいます。

こうしたことも、治療やカウンセリングにより、適度な距離をもった関係の在り方に変化していくでしょう。人に適度に頼りつつも自分をもつこともできます。反対に人を余力ある分だけ助けることもできるようになります。それは無理をせず、自然な範囲内ということになります

人間関係は良いものばかりではありません。時にはストレスになってしまうような人間関係もありますが、そうした人間関係に対しては過度に関わらず、少し距離をもった社会性のある関係の取り方もできるようになっていくでしょう。そして、恋人や配偶者に対して強い依存のない愛情生活を送れるようになるでしょう。

Aさんの場合、これまで他人に合わせすぎる傾向がありましたが、境界線を意識する練習を重ねた結果、無理せず頼ったり断ったりできる関係を築けるようになりました。

親との決別

アダルトチルドレンの方は、親が既に亡くなっていたり、行方不明になっていたりしていることもあります。もしくは今現在も強い影響力を受けながら生活していることもあるでしょう。

そうした親を許したり、再度良い関係を築くということが良い場合もありますし、反対に決別し、親とは別の人生を歩む場合もあります。どちらが最善であるとは分かりませんが、経験的に圧倒的に後者の選択をする方が多いように思います。実際的にアルコール依存症の親やDV的な親もいますから、必ずしも和解しなければならないということはありません。

いずれにせよ、親との関係に整理をつけ、良い意味で決別し、自立し、自分の人生を大切にしていくような考えや行動になっていけると良いと思います。

Aさんは、母親の期待に応え続ける生き方から離れ、自分自身の気持ちを優先する選択ができるようになりました。親への怒りや悲しみを整理することで、心の距離を取ることができました。

やりがいや生きがいを感じられる

ほとんどのアダルトチルドレンの方は、自分の人生を生きることができず、無力感や絶望感、無意味さを抱えながら生きています。そして、他者のために犠牲になるような選択をしてしまいがちです。そうした中ではやりがいや生きがいを感じることはないでしょう。あっても、部分的でしょう。

上記で書いた良い自己像が健全に育っていくと、自分のために時間や労力を割けるようになります。その過程で、楽しむという体験も増えていくでしょう。アダルトチルドレンの方は楽しむことができない方が多いようですから。そして、長い人生の目標について考えることができるようになり、その目標に向かって進むことそのものにやりがいや生きがいを感じることができていくようになります。

一見苦痛な勉強、労働、訓練なども手応えのある行動と体験されます。先の目標を達成するために、今目の前の課題に取り組めますし、その課題をこなすことそのものが喜びとなっていくでしょう。これこそが自分を大切にするということにもつながっていきます

Aさんの場合、やりたいことを小さく試していくうちに、自分の興味や価値観を再発見しました。現在は仕事や趣味に充実感を覚え、以前より前向きに生活を送れるようになりました。

アダルトチルドレンについてのコラム

アダルトチルドレンをさらに詳しく知りたい方は以下のページをご覧いただけたらと思います。

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アダルトチルドレンの人が回復した時に起こる変化について書きました。アダルトチルドレンの人はカウンセリングを通して、こうした良い変化が生じることがしばしばあります。もちろん、その過程は簡単なことばかりではありません。しかし、困難なことがあるからこそ、成長があるともいえます

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