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発達障害児の育て方

発達障害という我が子

自閉スペクトラム症などを主体とする発達障害の子どもたちを持つ親は子育ての中で、多大なる心理的な葛藤や多彩な困難を抱えています。さらには病名告知を契機に障害受容の問題などが起こり、たいへん複雑な過程が伴うといわれています。

両親が発達障害児を子育てする場面において実際のところどのような経験をしており、そのプロセスはいかなるものかという視点で調査された研究はこれまでは大変少ないです。しかし、近年では発達障害の子どもやその家族に対する育児の心得の手引きが注目されています。

今回は「発達障害児の育て方」を中心に説明します。

1.もし我が子が発達障害児と告げられたら

親は我が子が発達障害を疑わせるような症状を呈しながら長期間に渡って何かの障害ではないかと疑問を持ちながら共に過ごしてしまいます。例えば母親は明確な診断が得られない中で不安な気持ちを持ちながら子育てをしていることが想像されます。

そして一旦我が子の日々の生活における障害行動を認識してから、いざ診断されるまで母親は焦燥感や自責の念、罪悪感、絶望的な孤立感など心理的な葛藤や底知れぬ不安を感じています。まさにこの時期に多くの育児上の問題に直面するといわれています。

さらには病名告知後に親御さんにとって新規に出現する課題もあります。障害があること自体に対する苦悩感はもちろんあります。さらに、我が子の言動をすべて障害や症状という観点で偏って評価しまうことで一般的な健常発育が見えにくくなってしまいます。そして今後の育児に対する不安や周囲の方々との社会的関係における悩みなど、我が子が発達障害と診断されたのちに様々な心理的混乱を生じることが考えられます。

2.親が発達障害児を受け入れる過程とは

発達障害と診断を受けた子どもの各種言動についての理解が徐々に進んでいくことによって、その両親は子育てするうえで段々と子どもの行動に対する苦悩や自責感情が薄れていきます。やがては安堵感を得られる境地に至るというプロセスが存在します。

特に普段から発達障害児の身近にいることが多い母親については、子育てする中でどうにもならないという窮地を経験するたびに我が子との向き合い方を振り返ります。そうしたことを通して、子どもとの関係性や子育てにおける思考を柔軟に変化させています。

時には育児中にどうすればいいのか全く分からない状態へと陥り、その都度我が子のことを深く理解したいという切実な思いを抱きます。その過程は、まさに子どものことを十分に受容していく契機となって子育てする際において非常に重要な意味を持つプロセスになります。

例えば自閉スペクトラム症などの発達障害児の親であることを自己肯定するまでの過程には、最初に不安や闘争心を自覚するところから始まります。そして、次に与えられた運命への順応のみならず障害そのものに関する理解や究明を目標とした努力欲求を持ちます。最終的には最適な環境を追及する、という段階を経ることが分かってきました。

発達障害児の両親が日々悩みながらもどのようにして我が子に関与していけばよいかを経時的に学んで、良好な親子関係を構築する術が分かってくるようになります。こうしたことが、子どもへの見方が変わって明るく前向きな感情になります。

3.発達障害児の育て方

さて発達障害児を実際に上手に育て、なおかつ良好に付き合っていく為には、まず第一にその御両親が発達障害に関する正しい適切な知識を得ることが重要です。

そして、親子ともにお互いにじっくりと長い時間をかけて真摯に向き合うことが必要不可欠だといえるでしょう。

なぜならば、発達障害児の特性や個々の症状は色々と異なり、まさに多種多様です。そのため、各々の子どもによって得手不得手に応じた育て方をすることが推奨されるからです。

例えば、発達障害のなかで特に注意欠陥多動性障害と学習障害が重複している子どもの場合には、もともと勉強が苦手で、学習時に集中力が途切れやすい特徴があります。ですので、学習面における手厚いサポートがより必要となるでしょう。

一方で、実は発達障害児の子育て支援に絡む問題として、親が我が子に対して深い愛情を持てずに愛着心が形成されにくいことが挙げられます。

知的な遅れがみられない発達障害児のケースにおいても、親御さんが愛着を抱くのは通常であれば我が子が2~3歳の時であるのが多いのですが、大きく後年に跨ってしまうことも決して稀ではありません。

これらの観点から、発達障害児を育てていく実際の生活スタイルを考えるうえで、両親が良好な子育ての環境を整えるために頼れる周囲の人々に働きかけていく力が強く求められます。そして、そのパワーが我が子と真剣に向き合いあえるように支える一因であると推測されています。

特に育児の中心的存在になりやすい母親が発達障害を有する子どもと適切につながっていくために周囲の環境を取り巻く丁寧な関わり方について社会全体で熟慮することは大切です。また、今後の発達障害児における子育て支援を充実するために必要な取り組みであると考えられます。

最後になりますが、発達障害児を育てるうえで重要なことは決して子どもの発達障害の特性や症状を無理に封じ込めることではありません。

その子どもの個性ともいうべき特性によって生じる様々な社会的問題や生活上の支障をできるだけ取り除いてあげることです。このことを忘れずに、親御さんは本人を良く理解したうえでその子に合った生活環境を整えるように育児できると良いでしょう。

4.発達障害について相談するには

こうした発達障害についてさらに知りたい方は以下のページをご覧ください。

発達障害のカウンセリング・相談
発達障害は、自閉症、注意欠陥多動性障害、学習障害、知的障害などの広範な遺伝的負因による障害です。発達障害は心と身体の成長や発達がうまく作動しなかったり、アンバランスになったりします。発達障害の原因、特徴、症状、治療、支援について解説します。

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5.参考文献

  • 山本真実ら:自閉スペクトラム症を主とする広汎性発達障害の子どもをもつ母親の子育てのプロセス.  日本看護研究学会雑誌 33(4), pp21-30, 2010.
  • 山根隆宏:高機能広汎性発達障害児・者をもつ母親における子どもの障害の意味づけ : 人生への意味づけと障害の捉え方との関連. 発達心理学研究 23(2), pp145-157, 2012.
  • Samios C etc:The nature of benefit finding in parents of a child with Asperger syndrome. Research in Autism Spectrum Disorders, 3(2), pp358-374, 2009.
  • 二木康之ら:障害の告知と受容-地域自閉スペクトラム症児親の会アンケート調査から-. 脳と発達 34(4), 336-342, 2002.
  • Kenny Midence etc:The experience of parents in the diagnosis of autism. Autism,3(3), pp273-285, 1999.
【監修者情報】

  • 甲斐沼 孟 先生
  • 資格:医師、日本病院総合診療医学会認定医、厚生労働省認定緩和ケア研修会修了医、厚生労働省認定臨床研修指導医、日本医師会認定産業医、他多数
  • 経歴:平成19年に大阪市立大学医学部医学科を卒業後に初期臨床研修を2年間修了後、平成21年より大阪急性期総合医療センターで外科後期臨床研修、平成22年より大阪労災病院で心臓血管外科後期臨床研修、平成24年より国立病院機構大阪医療センターにて心臓血管外科医員として研鑽、平成25年より大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、平成26年より大阪市内救急病院にて勤務、令和3年現在同院救急科医長。