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発達障害のカウンセリングや精神分析的アプローチ

最近は発達障害がとても流行っているようです。そして発達障害の支援といえば行動療法が主を占めています。それを否定するものではありませんが、発達障害のニーズを理解し、精神分析的なアプローチ、カウンセリング的なアプローチをすることの意義もあるのではないかと考えます。そうしたことをここでは書いています。

1.発達障害のオーソドックスな支援

最近は発達障害の援助について色々と取り沙汰されることが多いですが、そのほとんどが行動療法的な養育やTEACCH、又はペアレント・トレーニングなどで主となっています。一部、イギリスのタビストゥックにおけるタスティンやアルヴァレズ、メルツァーなどの流れを汲む自閉症の精神分析的アプローチなどがありますが、乳幼児や子どもが中心のようです。成人の発達障害の精神分析については少ないようです。

ちなみに、発達障害といっても様々なタイプがあります。健常者との地続きからなるスペクトラムを形成しているところもあるので、簡単に発達障害と位置づけることすら難しいのではありますが。

発達障害についての詳細は下記をご覧ください。

2.発達障害の連想の特徴

発達障害のクライエントは空想の世界に遊び、集中したら周りが見えなくなるぐらいまで没頭し、その特徴のためにしばしば特異な才能を見せることもあります。しかし、ひとたび他者との情緒的な関係に触れると、精神病的な不安に襲われ、パニックになることもあります。

このような特徴は精神分析的なセッションやカウンセリングの中でも同様に起こり、まるでカウンセラーがいないかのように独自の世界を延々と語り続けることも稀ではありません。カウンセラーの介入には一応は耳を傾け、ある程度のレスポンスはしてくれますが、すぐに自分の世界に引きこもっていくことが多いようです。

一見するとこのナルシスティックに思える状態・特徴によって、カウンセラーはしばしば無力感に陥り、カウンセラーもクライエント同様に自分自身の内的世界に引きこもってしまいます。特には白昼夢を見たり、時には睡魔に襲われたりもします。

3.不毛さの背後にある情緒

このような転移/逆転移関係の中で不毛と思われるセッションが延々と続きますし、それを共謀と捉えることもできるかもしれません。しかし、後から振り返るとその不毛とも思える関係が実は発達障害のクライエントを守り、彼らの世界を保証し、共感していると言えなくもありません。そして、その不毛と思われる関係を基盤にした解釈によって隠された情緒、育ち損ねてきた情緒に触れることができる局面も時には訪れます。

その解釈によって一時的には混乱するかもしれませんが、そこに人間関係をリアリティをもった感覚として体験することができ、ある種の満足が得られたりもします。

またそうしたことは主にカウンセラーは逆転移を通して理解しますが、逆転移を利用するためには教育分析や個人分析、スーパービジョンといった訓練は必須となってきます。

4.発達障害のニーズを捉える

しかし、発達障害のクライエントへの精神分析的アプローチやカウンセリングにはエビデンスはあるのか、という指摘もあります。しかし、彼らのニーズをある程度は把握し、そこに自己理解というニーズがあるのであれば、精神分析的アプローチやカウンセリングが役立つこともあると考えます。

反対に発達障害だから、一様に行動療法・TEACCH・ペアレントトレーニングと無思考的に施行することのほうが彼らのニーズを把握していないのではないかと思ったりもします。