【初回は料金半額】【夜22時まで開室】【土日も開室】【対面でもオンラインでもカウンセリング可】

トラウマが人生に与える影響とは

トラウマを背負って

トラウマというのは、「個人の対処能力をはるかに超えた圧倒されるような出来事(外傷体験)による心理的かつ感情的苦痛を伴う状態」と定義付けされています。例えば、自然災害による甚大被害、児童虐待、学校でのいじめ、重大な交通事故、激しい暴力行為などを実際に経験した被害者の方が負う心の傷は、とても深く、簡単にすぐ治るものではありません。

特に、発達期である幼少期や若年期に意図せず体験したトラウマは、当該者のその後の長い人生に多大なる影響を及ぼしかねません。

今回は「トラウマが人生に与える影響」を中心に説明していきます。

1.トラウマとは

通常、何らかの非日常的な体験をすることによって、心に深い傷を負ってしまい、心身の状態が本来の役割を果たせなくなった状態のことを「トラウマ」と呼んでいます。トラウマは、身体的にも精神的にも様々な影響を及ぼすのみならず、人生において苦悩を感じる生きづらさの源になることがあります。

日常的によく汎用されるトラウマという言葉は、少し苦い思い出を指す意味で使用されることもありますが、専門領域で用いられる「トラウマ」はほとんどが徐々に記憶として薄らいでいく思い出とは明確に異なり一線を画されるものです。

実際にトラウマ体験に晒されることや想像を絶する経験を目の当たりにして目撃することなどによって生じる特徴的なストレス症候群のことをまとめて「心的外傷後ストレス障害(以下、PTSD)」といいます。トラウマによって、体験後に現れた多彩な症状が一定の基準を満たすと判定されれば、PTSDと診断されることになります。

特に、近年では子どもにこのトラウマを負わせるような児童虐待などの悲惨なニュースがメディアでも毎日のように多く報じられています。

たしかに大人になってから発生したトラウマも決して小さい問題とはいえませんが、一般的には子ども時代などの発達期に生じた心の傷たるものは、人生においてより複雑な影響を長きに渡って及ぼすといわれています。

なぜならば、子ども時代など幼少期や若年期というフェーズは、まさに心身ともどもに著しく発達していく段階過程に位置するためであり、いわゆるPTSDが後遺しやすいのみならず、その先の精神面での健やかな成長を妨げてしまうからなのです。

2.トラウマになる原因とは

トラウマは、過去の多種多様な体験によって生じるといわれています。

例えば、暴力的行為や養育放棄(ネグレクト)など日常的に繰り返される児童虐待や、天災や火災などの甚大的被害を呈する自然災害、あるいは幼少期に受けた性的被害や偶然巻き込まれた事故や犯罪などの非日常的な恐怖を伴う経験が一因として挙げられます。

仮に親からしつけと称される暴力や暴言を日々浴びたり、子どもの目の前で繰り返される両親の喧嘩であったり、頻繁に養育者が入れ替わるなどの苦しい体験などをすると、近くにいる子どもは「自分もそのうちにひどいことをされる」、「近い将来に捨てられる」などの辛い恐怖感を抱きます。

それ以降、子どもは自分でいろいろな感情や言動を制圧するようになり、自身で多様な感情に気付きながらもそれを適切に表現することがわからないまま、近しい人に相談できないことが続くために混乱状態に陥ってしまうのです。

3.トラウマが人生に与える影響とは

トラウマを生じる実体験が、健常な大人にとっては些細なことであっても、心身機能が未熟とされる幼い子どもにとっては現実的に大きな深い傷となって生涯を通して残ることがあります。

特に、子ども時代に体験したトラウマは、その後の長い人生において辛く悲しい感情につながる恐れがあります。

その結果として生じた複雑なトラウマは、日々の生活や仕事、恋愛など多岐に渡ってあらゆる方面に長く影響を残します。なおかつ意図せずにトラウマを経験した年齢が通常よりも若く発達段階の早期であればあるほど、人生に与える影響は広く深いものになります。

トラウマを体験した子どもの中には、原因となる体験が自らにとって日常的過ぎてそれらを特別視していなかったり、辛い嫌な記憶そのものが防御反応的に抜け落ちていたりすることもあります。

思春期以降、大人になって自分の生きづらさを自覚するようになり、それが幼少期に負ったトラウマだからであると気付くことも少なくありません。こういった意味でも幼少期に受けた傷は、長期の潜伏期間を経て、後々に出現することもあるのです。

また、両親や周りの大人の子どもに対する普段の接し方そのものが、その子の人生に大きく影響を与えることがわかってきております。

不安定な親子関係の影響などがある場合には人生の重大な課題に直面する局面を迎えるごとに幼少期に負ったトラウマが走馬灯のように出現しがちです。

4.心的外傷後成長(PTG)とは

自らがトラウマを認識することで、不安な症状が現れたり、息苦しさを感じることは大変心苦しいことです。しかし、そうしたことで人生におけるあらゆる場面で自分の生きづらさがトラウマの影響によるものだと気付く契機にもなります。

トラウマには、ネガティブな側面だけではありません。過去の危機的な出来事や困難な経験に対して精神的な向き合いの結果として生ずるポジティブな心理的変容の体験があります。これは「心的外傷後成長(PTG)」というものです。

このコンセプトは他者との親密性が増す、新たな興味や活動に取り組む、人生に対する深い感謝を示すなど様々な領域に関する明るいメンタル面での変容をもたらすと考えられています。

トラウマから回復するには、まずは「自分自身が真剣に努力する」という意欲的な態度が欠かせないことは議論を持ちません。しかし、そのような過程においては、いずれどこかでトラウマ体験と向き合う必要が出てきます。

そうした際に、周囲の身近な人に支えられたり、専門職の方々の手厚いサポートを借りながら、少しずつでも改善への第一歩を思い切って踏み出していただきたいと願っております。

5.トラウマについてのカウンセリングを受ける

トラウマから自然に回復したり、自ら努力と工夫をして回復したりすることはあります。しかし、そうしたことがなかなか難しいこともあります。その時には臨床心理士などの専門家に相談したり、カウンセリングを受けたりすると良いでしょう。

当オフィスでの相談やカウンセリングを利用したい方は以下のページからお申し込みください。

カウンセリング申し込みフォーム

また、そもそものトラウマについて詳しく知りたい方は以下のページをご参照ください。

トラウマのカウンセリング・相談
トラウマとは、いわゆる「心の傷」といわれるものです。身体が傷つくことと同じように同じように心も傷ついてしまいます。そして、フラッシュバックや過覚醒、回避などのいくつかの症状が重なるとPTSDという診断になります。

6.参考文献

  • 池埜聡:臨床ソーシャルワークにおける代理性心的外傷ストレス-心的外傷 (トラウマ) 治療と援助者への心理・精神的影響に関する理論的考察-, 関西学院大学社会学部紀要 (86), pp129-144, 2000.
  • 池埜聡:生存者罪悪感(survivor guilt)の概念的枠組みとソーシャルワーク実践の課題-ソ ーシャルワークにおけるトラウマ・アプローチに関する一考察-, 社会福祉学 42(2), pp54-66, 2002.
  • 亀岡智美:精神科医療におけるトラウマインフォームドケア, 精神神経学雑誌 122, pp160-166, 2020.
  • 新牧恭太ら:トラウマ性ストレスによる心身障害を乗り越え,心的外傷後成長を得た 50 代女性の症例, 日本健康心理学会大会発表論文集32, 2019.
【監修者情報】

  • 甲斐沼 孟 先生
  • 資格:医師、日本病院総合診療医学会認定医、厚生労働省認定緩和ケア研修会修了医、厚生労働省認定臨床研修指導医、日本医師会認定産業医、他多数
  • 経歴:平成19年に大阪市立大学医学部医学科を卒業後に初期臨床研修を2年間修了後、平成21年より大阪急性期総合医療センターで外科後期臨床研修、平成22年より大阪労災病院で心臓血管外科後期臨床研修、平成24年より国立病院機構大阪医療センターにて心臓血管外科医員として研鑽、平成25年より大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、平成26年より大阪市内救急病院にて勤務、令和3年現在同院救急科医長。