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日本心理臨床学会第38回大会の参加感想記

 令和元年6月6日(木)から9日(金)まで横浜のパシフィコ横浜で日本心理臨床学会第38回大会外部リンクが開催されました。心理臨床家が一堂に集まる大きな学会です。私も毎年のように参加し、発表し、同業者との友好を深めています。その学会の参加した感想を書いてみたいと思います。

目次

  1. 1日目
  2. 開業臨床と公認心理師
  3. 2日目
  4. 3日目
  5. 4日目
  6. まとめ

1日目

 1日目の午前は子どもの精神分析的心理療法の自主シンポジウムに参加しました。中堅臨床家の語らいと迷いましたが、最後の最後でこちらを選びました。この自主シンポジウムでは、パーソナルな体験と分析体験と臨床体験が折り重なり合いながら臨床家として成長するんだなと考えながら討論を聞きました。

 午後1時からは対象関係論における頻度や目的の自主シンポジウムに参加しました。ここでフロイトの患者台帳という歴史的資料が提示され、思わず興奮して見入ってしまいました。

開業臨床と公認心理師

 公認心理師を持ち、開業臨床をすると多かれ少なかれ、公認心理師法の下で仕事をしなければならなくなります。特に医師の指示や連携、倫理において臨床的にも考慮せねばなりません。こうした点からこの自主シンポジウムを企画しました。

 最初は私の発表で、倫理をテーマして、「逆転移のなかの倫理をめぐって」というタイトルで倫理を論じました。倫理というとほとんどの方がアレルギーを引き起こすのではないかと思います。というのも、非倫理的なことをすると糾弾されたり、批難の対象になったり、懲罰を受けるといった超自我空想を刺激されるからかもしれません。

 しかし、本来の倫理はそうではないことを、そして倫理は技法的な側面があることをレビューしました。さらに、倫理には実際の行為と倫理的な葛藤の2つがあり、後者は主に逆転移として把握されうることを示しました。逆転移ということはそこに臨床的に活用できる可能性に開かれるということを意味します。そこで、カウンセラーが性的ファンタジーを抱くことについて事例を通して示し、それを非倫理的と糾弾するのではなく、クライエント理解の素材として活用できたことを例証しました。

 次の発表者の方は連携をテーマした話題提供を行いました。連携する中で情報提供と守秘義務のジレンマをどのようにこなしていくのかを論じられました。その1つの答えがクライエントが自ら連携に動き、それをカウンセラーがエンパワメントするという視点でした。

 最後の発表者は医師の指示についてを取り上げました。法律や条文の解釈からクライエントの自己決定権という観点を提示し、そこに重きをおくことで医師の指示を通した連携をよりスムーズに活用できることを示されました。

 指定討論からのいくつかの指摘と質問を経て、フロアとのディスカッションに入りました。当初45分ぐらいの時間を想定してましたが、時間が押して、30分程度となってしまいました。それでも多数の討論がなされ、非常に刺激を受けました。私に向けられた質問では、非倫理的なファンタジーを抱く時のカウンセラーとしての対処法についてやりとりしました。これは姿勢になるかもしれませんが、倫理を踏み外さない自信を持つことは非常に危険なことであると回答しました。むしろ、カウンセラー自身が如何に弱く、欲望に押し流されやすいのか、について理解を深めておくことが大切だろうと私は考えます。自分だけは大丈夫、というのが1番怖いことです。

 その他にも有意義な討論ができたかと思いますが、もっと時間があればと欲張りな気持ちもないわけではありません。

 アンケートでは多数のご意見が書かれており、非常にありがたく思いました。フロアからは性的ファンタジーについての発言はあまりありませんでしたが、性的ファンタジーにまつわる理解に心を動かされたという記述が意外とたくさんあり、発表した甲斐があったなと思いました。やはり、隠蔽したくなる思いは公には口にはできないのかもしれません。

 自主シンポジウム後には登壇者で打ち上げに行き、延長戦のように激論を交わしました。また、このテーマにとどまらず、開業臨床をする上でのマーケティングの話やウェブページの工夫の話も出ました。手練手管の自称カウンセラーという手強い競争相手とやり合う必要はあります。

 ちなみに自主シンポジウムには数えるとちょうど40名が来てくれました。ありがとうございました。ただ、50部印刷したハンドアウトが足りなくなるという事態が発生していました。部数の計算が合わないようですが、ハンドアウトだけ持ち帰って、自主シンポジウムには参加しないという方がおられたということでしょうか。

 なにはともあれ、自主シンポジウム「開業臨床と公認心理師」が無事に終了しました。活発な議論をありがとうございました。

2日目

 日本心理臨床学会2日目の午前は「逆転移」の会員企画シンポに参加しました。

 一部誤解があるようでしたが、あれはそもそも精神分析的なセラピーでも力動的なセラピーでもなく、いわゆる支持的セラピーに類するものだと思います。

 また、これは指定討論でもありましたが、逆転移とは言いつつ、個人的な感情や感覚のものであり、そこからクライエント理解の何らかの素材が見出せるものではないのだろうと思います。そして、この逆転移が治療的転機をもたらしたのではないと私は理解しています。しいて言うなら、治療的な変化は確かに起こっているし、それは別の要因であると思います。そして、彼女らの感情や感覚はその治療的な変化の結果を表すバロメーターとしての位置付けはできそうかとは思いました。しかし、これはよくある逆転移の活用とは別物でしょう。

 そもそも、精神分析体験を経てない人が逆転移を使えるのかという原理的な問題もあります。しかし、確かに治療的な変化はありますが、どういうことが要因としてあったのだろうか、というのは一考に値します。私の推測ではカウンセラーとして実直さと、それにより本当のことに触れること、そして、それを直感的に把握する感性ではないかと思います。そのことがこれまで膠着していた状況に変化をもたらしたのではないかと考えます。おそらく、松木先生の理解や介入技法は、彼女らの治療的機序とは別次元のことを想定されているように思いました。

 私もシンポジウムの最期のほうで発言させてもらいましたが、こうした本当のことを飾り気なく実直に言われることはある意味では怖さであり、ある意味では生きる感覚を取り戻すことであるでしょう。そして、それを変化のために活用できないクライエントであれば中断や終了の憂き目に合うでしょうが、この事例のクライエントはそれらを創造的に活用し、手応えとして感じたのではないかと思います。そうしたように創造的に活用できるだけの健康な部分が実はあった事例だったというのが私の理解です。幼少期のことがカウンセリング関係に素材として未だ展開してないので、藪の中ではあるので、推測ではありますが。

 なのでタイトルと内容が実は一致してないシンポジウムではあり、これは逆転移ではなく、実直さと本当のことに触れること、といったネーミングの方がより、内容を反映しているのではないかと考えます。いずれにせよ、彼女らの感性は私にはないものですが、非常に刺激的な発表で、大変面白かったと思います。

3日目

 日本心理臨床学会3日目は事例研究を中心に回りました。そこで学んだことは、「真の何々」というのは不毛であること、破壊性の中にコミュニケーションの機能と側面があること、治療者が否定的な逆転移を否認するとどこかでカウンセラーがアクティングアウトしてしまうこと、などだったかと思います。

 また、3日目の夜にはなぜか臨床家の若手の会の打ち合わせに入れてもらいました。私の年齢はともかく気持ちは初心の若手です。この打ち合わせでは地方の臨床の実情をどうするのかがテーマのようでした。地方の研修や雇用は深刻な状況のようです。それをデジタルネットワークでどう受け皿を作るのかは臨床の世界を生き残る上で考えねばならないことかと思います。

4日目

 日本心理臨床学会4日の午前は緘黙の事例研究に参加しました。緘黙というコミュニケーションについて思いを馳せました。

 午後はバリントの自主シンポジウムに参加しました。なぜバリントは臨床的に意味あるのに人気がないのか、についての討論が面白かったです。

まとめ

 日本心理臨床学会に参加された皆様、お疲れ様でした。毎年参加し、毎年発表し、毎年フロアから発言して、有意義な時間を毎年のように経験させてもらっています。

 厳しいことを言ったり言われたりしますが、それはエディプス的な布置において去勢不安を感じてしまう心的体制になっているからだろうと思います。しかし、実はよくよく聞いていると、そこには非難的な意味はなく、対話があるように思います。違う視点を指摘されることが、間違いを非難されたと誤認し、防衛的になると、成長や学びを手放してしまう非常にもったいないことになるのだろうと思います。とはいっても、学会の大御所の中には超自我的な言動をする人もいるようではありますが。私もフロアから発表者とは別視点のことを敢えて言うこともありますが、決して非難する意図はなく、対話を求める故だとご理解ください。私が発表する時には、敢えて別視点からご指摘ください。

 あと、学会中には、普段は行かないようなちょっとした贅沢な昼食を食べ歩きました。食も学会の楽しみの内の一つです。しかし、真面目なツイートより、昼食の画像のツイートの方がイイネが多いのが釈然としませんが(笑)

 それと、学会中に見知らぬ方からツイッターを見ています、と挨拶されることが本当に多くありました。昨年は少しいたぐらいだったのですが、今年は多かったです。やはり、フォロワーが増えたことも影響しているのでしょうか。あまり、変なことはできなくなりました。

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公開:2019-06-14 更新:2019-06-14
研究会  北川 清一郎

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