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カウンセリングの事例検討会の方法

日本心理臨床学会第39回大会はweb開催となりました。その中の教育・研修委員会企画シンポジウム「事例検討会を再検討する-ケースカンファレンス再考-」から考えたことを書きます。

(1)発表者のニードを掴む

グループスーパービジョン、公開スーパービジョン、事例検討会とそれぞれ多少は趣きが異なるところもありますが、事例発表者を中心にし、事例発表者が有益な体験・経験ができるようにするのがスーパーバイザーやコメンター(もしくは司会など)の役割かと思います。

そして、事例発表者の主訴や発表動機を大切にするという議論は本当にその通りだと思います。それをさらに一歩進めると、主訴や発表動機以上に、事例発表者のニードというものの把握や理解が大事ではないかと私は考えます。つまり、事例発表者が意識的に考えている目的だけではなく、無意識的な動機を把握し、そこを出発点とするということです。

リアリティあるやり取りが事例発表者には必要なのか、それとも具体的な対応方法を指導的に提供することが必要なのか、クライエント理解の視点を提供するのが必要なのか、介入方法の指導をするのが必要なのか、等々あるでしょう。どういったことを事例提供者がニードとして持っているのかに即して、スーパーバイザーがその事例提供者のニードに適応していくことが大事なことではないかと私は考えます。

そうしたニードへの適応に関連する事柄(検討会の形式、事例提供者のパーソナリティ、発表された事例の特質など)も考慮にいれる要因としてはもちろん重要でしょう。

スーパーバイザーはこうしたすべてのことをある意味ではアセスメントしていく必要があるのかもしれません。そのアセスメントは、スーパーバイザーと事例発表者とがどういった関係なのかにもよるかもしれませんが、発表前の雑談や発表の時の雰囲気、ディスカッションの手ごたえなどから、ある程度はアセスメントできるのではないかと私は考えます。

(2)ナルシシズムの傷つき

事例検討会においてフロアから質問をすることはよくあることだろう。しかし、それが苦手であるという人は一定数いるようです。おそらく、多数の前で発言するのは単なる恥ずかしいということではなく、その発言によって周りから評価されて、傷ついてしまうのではないか、というナルシシズムの問題があるのではないかと思います。

ナルシシズムが傷つかないようにするために口を塞ぐのかもしれません。

(3)超自我的なコメント

事例検討会では必ず細かい事実確認をする人がいますが、あれはやめた方が良いと私は思います。発表者にとっては事実を答えるだけになり、全くためにならないからです。それよりも発表を聞いて率直に思った感想や連想を語った方が発表者の何かを刺激し、今後の糧になるでしょう。

また、方法論を指図するようなコメントもたまにあります、それは非常に超自我的なので、発表者によっては受け身的スタンスを助長させてしまうかもしれません。

(4)ボラスの事例検討の方法

C,ボラスは事例検討では、事例の一部だけを提示し、質問や事実確認なしで、その場の思いつきを言うだけという方法での検討会をしているそうです。そうしたことがダイナミックな動きとなり、発表者や参加者の無意識が活性化されるのでしょう。そうした検討会は意義深いだろうと思います。

(5)当オフィスで開催

ちなみに以下は当オフィスで開催しているグループスーパービジョンと事例検討会です。ご興味があれば是非ご参加ください。


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