概要
本セミナーでは、吃音のある子が直面する心理的課題と、教育現場や職場で求められる合理的配慮について、最新の研究知見と実践的な支援方法を学びます。まず、吃音のある子どもたちがどのような場面で不安を感じやすいのか、また、なぜそうした不安、すなわち社交不安症が生じやすいのかについて、科学的データに基づいて理解を深めます。
例えば、小学校・中学校・高校のすべての学年において、音読は最も困難を感じやすい活動であり、発表についても同様に困難が生じやすいことが示されています。また、意外に知られていない点として、吃音のある子の多くは、自分の名前を言う場面で強い不安を感じることが挙げられます。言いやすい言葉と言いにくい言葉の差があるため、一見すると流暢に話している場面があっても、その背景にある悩みや困難を過小評価しないことが重要です。
さらに、不安の軽減に寄与する吃音のメカニズムとしてのタイミング障害について解説し、そこから導かれる適切な支援の方向性を示します。加えて、学校や企業において不安を軽減するために活用できる法律や、合理的配慮の考え方を整理し、支援の根拠についても学びます。
また、連携力を高めるための実践編として、教育機関や企業と協働する際に有効となる意見書や診断書の作成を、実習形式で体験します。現場で実際に役立つ知識とスキルを習得することを目指します。
本セミナーで学べること
- 吃音のある子が不安に感じる場面および理由の科学的データを知る。
- 不安を軽減する吃音のメカニズムを知る。
- 不安を軽減する法律を知る。
- 学校・企業と連携力を高めるための意見書・診断書を書いてみましょう。
講師
菊池良和 先生
- 所属:九州大学病院耳鼻咽喉・頭頸部外科助教
- 資格:医師、医学博士、等
- 経歴:九州大学医学部を卒業し、大学院では臨床神経生理学教室で、「脳磁図」を用いた吃音者の脳研究を行い、国内外での受賞。現在、九州大学病院耳鼻咽喉科で吃音外来を担当し600名以上の診察歴あり。吃音の著書は16冊出版し、吃音の講演会を全国各地で行っている。医師の立場で吃音の臨床、教育、研究を精力的に行っている。
- 受賞歴:最優秀論文賞(耳鼻と臨床)、第39回日本臨床神経生理学会学術大会:優秀演題賞、等。
- 研究テーマ:吃音の社交不安症
- 書籍
菊池良和先生の他のセミナー
セミナーの紹介
配布資料の一部
セミナーの様子の一部
動画の内容
本セミナーでは、九州大学病院耳鼻咽喉・頭頸部外科の菊池良和先生を講師にお迎えし、吃音のある人が抱えやすい心理的困難と、それに対する合理的配慮や心理支援について、医学的知見と臨床実践の両面から取り上げています。発話そのものへの支援だけでなく、学校や職場などの環境との関係を含めて吃音を理解し、具体的な支援につなげていく視点を解説しています。
まず、吃音の特徴として、発話の流暢さには「波」があり、同じ言葉でも言えるときと言えないときがあることを紹介しています。診察や面接では比較的流暢に話せる場合もあるため、その場での話し方だけを見て困難さを判断しないことが重要です。音読、発表、自分の名前を言う場面など、吃音のある子どもが不安を感じやすい状況や、それらが社交不安と結びつく可能性についても解説しています。
また、吃音に関連するいじめについても詳しく取り上げています。話し方を真似されたり、笑われたりする経験を、本人の問題としてではなく、周囲の理解や教育環境を含めた問題として捉える視点を紹介しています。本人の希望を確認したうえで、クラス全体にどのように説明するのか、吃音について正しく知る機会をどのようにつくるのかなど、周囲への心理教育的な働きかけについても触れています。
合理的配慮については、その制度的な背景を踏まえながら、学校や職場とどのように連携していくのかを具体的に解説しています。たとえば、音読が大きな負担となる場合に二人で読む方法を取り入れる、時間的な制約を調整するといった配慮を例に、本人がどの場面で何に困っており、どのような調整が有効なのかを具体化する考え方を紹介しています。
さらに、診断書や意見書などを活用し、本人の困難と必要な配慮を関係機関へ伝える方法についても取り上げています。単に「配慮してください」と求めるのではなく、困難が生じる状況と有効な対応を具体的に整理して共有することが、実効性のある支援につながります。心理職をはじめとする支援者が、本人と学校・職場との間をつなぐ役割を担う際のポイントも整理しています。
心理支援においては、吃音の頻度や程度だけでなく、本人がどの場面で不安や負担を感じ、吃音をどのように捉えているのかを丁寧に理解することが重視されています。そのうえで、本人がどのような支援や配慮を望んでいるのかを確認し、自己決定や主体性を尊重しながら支援を組み立てる視点を解説しています。
また、合理的配慮は単に困難な場面を避けるためのものではなく、本人の社会参加や選択肢を支えるためのものとして考える必要があります。どこまで周囲に吃音を伝えるのか、どのような形で参加したいのかといった本人の意向を尊重しながら、必要な環境調整を検討していく考え方も紹介しています。
吃音支援を発話の問題だけに限定せず、本人の心理的体験、学校や職場の環境、周囲の理解、合理的配慮、関係機関との連携まで含めて捉えることが、本セミナーの大きなテーマです。吃音の基礎的な理解から、心理支援、環境調整、連携の具体的方法までを幅広く整理できる内容となっています。
収録時間
約2時間00分(グループワーク含む)
オンデマンド視聴期間
無期限
参加費
2,200円
- 体調不良、急用、家庭の用事など個人的な理由であってもキャンセルの場合には返金します。
- 支払い方法はクレジットカード、コンビニ払い、銀行振込、ペイジー(Pay-Easy)があります。
- 自治体などで請求書払いが必要な方はこちらの【請求書払いの申し込みフォーム】からご連絡ください。
オンライン開催
オンデマンド視聴はVimeoを用いています。視聴可能かどうかはこのテスト視聴のページをご覧ください。映像と音声がうまく再生できていればオンデマンドは視聴可能です。
参加資格
臨床心理士、公認心理師、医師、心理職、カウンセラー、精神保健福祉士、社会福祉士、言語聴覚士、理学療法士、作業療法士、介護福祉士、看護師、保育士、教師などの資格をもつ対人援助の専門家、大学院生、一般の方、吃音当事者やそのご家族など。
吃音の子どもやその保護者の支援などに興味を持っていればどなたでも参加可能です。
臨床心理士更新ポイント
臨床心理士の更新のために必要な要件を満たしてないので、ポイントは取得できません。
申し込み期日
無期限
参加方法
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