概要
フロイトが創始した精神分析は、初期の頃にはエディプスコンプレックスが理論の軸となっており、そのため父子関係が非常に重視されていた。しかし、その後、メラニー・クラインによる児童分析の研究が進み、対象関係論が隆盛するようになった。それにともなって早期の母子関係についての理解が進むようになり、父子関係よりも母子関係に比重が置かれるようになっていった。
母子関係を重視した精神分析家としてウィニコットとボウルヴィが挙げられる。ウィニコットは小児科医であり、精神分析家でもあるが、メラニー・クラインからスーパービジョンを受けており、その影響を強く受けていた。しかし、次第に独自の見解を発展させるようになり、結果的にクライン派から離脱した。ウィニコットはホールディング、ほどよい母親、スクイグルゲーム、遊ぶことなど独自の理論や技法を発展させ、現代の精神分析においても強い影響を与えている。
もう一人、母子関係を重視した精神分析家にボウルヴィがいる。ボウルヴィもウィニコットと同じようにメラニー・クラインにスーパービジョンを受け、精神分析家になった。しかし、内的空想に重きを置くクラインや精神分析から次第に距離を取り、母子関係の現実的な側面に着目するようになった。その中でアタッチメント理論やマターナル・デプリベーションについての理論を発展させた。
現代は、ウィニコットやボウルヴィが生きた時代から既に半世紀が経とうとしているが、児童虐待や不登校、発達障害など子どもの問題は非常に注目を集めている。彼らの理論を用いることによって、こうした現代的な問題について理解を深め、関わっていくことができるだろう。
このセミナーでは母子関係を特に重視したウィニコットとボウルヴィを取り上げる。この二人の理論を振り返り、臨床実践にどのように活用していくのかについて学ぶ。精神分析に興味がある人はもちろん、精神分析にはあまり馴染みが無くても児童臨床や母子に関わる支援をしている人にも役立つ内容となっている。
本セミナーで学べること
- ウィニコットの理論と臨床
- ボウルヴィの理論と臨床
- 子どもの臨床について必要なこと
- 精神分析的な母子理解 等々
講師
細澤仁 先生
- 所属:フェルマータ・メンタルクリニック、アイリス心理相談室
- 資格:精神保健指定医、日本精神神経学会専門医、日本精神分析学会認定精神療法医・スーパーバイザー
- 出身大学:神戸大学医学部 卒業
- 経歴:神戸大学大学院医学系研究科助手、兵庫教育大学大学院学校教育研究科教授を経て、現職。
書籍情報
- 単著:
- 編著:
- 翻訳:
セミナーの紹介
レジュメの一部
セミナーの様子の一部
動画の内容
本セミナーでは、フェルマータ・メンタルクリニック、アイリス心理相談室の細澤仁先生を講師にお迎えし、母子関係を重視した二人の臨床家、ドナルド・ウィニコットとジョン・ボウルビィの理論と臨床実践を取り上げています。精神分析における母子関係理解の歴史をたどりながら、両者の理論が現代の心理臨床にどのような意味を持つのかを解説しています。
まず、ウィニコットについては、小児科医・精神分析家としての歩みを踏まえながら、幼児の発達を母親からのケアや環境との関係から理解する考え方を紹介しています。幼児と養育環境を切り離して捉えるのではなく、適切なケアによって「存在することの連続性」が支えられるという発達論を取り上げ、ホールディングや「ほどよい母親」などにつながる考え方を整理しています。
ウィニコットの治療論では、とくに「退行」が重要なテーマとなっています。早期の環境の失敗によって発達が十分に進まなかった場合、治療者が信頼できる治療環境を提供することで、患者が依存へと退行し、そこで新たな体験を得ながら発達を再開していくという考え方を解説しています。技法そのものだけではなく、患者を支える治療環境や治療者のあり方が治療にどのような役割を果たすのかを考えていきます。
一方、ボウルビィについては、精神分析の訓練を受けながらも、患者の内的空想だけではなく、実際の親子関係や分離体験などの現実的な環境を重視するようになった経緯を紹介しています。そこから発展したアタッチメント理論、マターナル・デプリベーション、内的ワーキングモデルなどを通して、早期の養育者との関係がその後の自己理解や対人関係にどのようにつながっていくのかを解説しています。
さらに、ボウルビィの心理療法論では、セラピストがクライエントにとっての「安全基地」となり、そこから過去や現在の苦痛な体験、重要な他者との関係、自分自身についての内的ワーキングモデルを探索していくという考え方を扱っています。治療関係そのものを、新しい理解や体験を得るための場として活用する視点についても紹介しています。
ウィニコットとボウルビィは、ともに早期の母子関係と環境を重視しながら、一方は精神分析の枠組みの中で、もう一方はアタッチメント理論という新たな枠組みを発展させました。本セミナーでは、両者の共通点と相違点を踏まえながら、その理論を児童臨床や母子支援、成人の心理療法にどのように活かせるのかを考えていきます。精神分析を学んでいる方だけでなく、子どもや親子への支援に携わる心理職・対人援助職にも参考になる内容です。
収録時間
約5時間
オンデマンド視聴期間
オンデマンド視聴期間:無期限
参加費
5,000円(税込)
- 体調不良、急用、家庭の用事など個人的な理由であってもキャンセルの場合には返金します。
- 支払い方法はクレジットカード、コンビニ払い、銀行振込、ペイジー(Pay-Easy)等があります。
- 自治体などで請求書払いが必要な方はこちらの【請求書払いの申し込みフォーム】からご連絡ください。
オンデマンド視聴について
オンデマンド視聴はVimeoを用いています。視聴可能かどうかはこのテスト視聴のページをご覧ください。映像と音声がうまく再生できていればオンデマンドは視聴可能です。
参加資格
臨床心理士、公認心理師、医師、心理職、カウンセラー、精神保健福祉士、社会福祉士、言語聴覚士、理学療法士、作業療法士、介護福祉士、看護師、保育士、キャリアコンサルタント、教師などの資格をもつ対人援助の専門家、大学院生、一般の方など。
母子臨床や精神分析などに興味を持っていればどなたでも参加可能です。
臨床心理士更新ポイント
本セミナーは、ライブ配信・オンデマンド視聴のいずれも、臨床心理士資格更新における2条(4)の項目(2ポイント)に関する研修機会として取り扱っています。資格更新に必要な参加証明等の手続きについては、受講された臨床心理士の方へご案内します。
申し込み期日
なし
参加方法
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