公認心理師資格の成立によって医療保険はどう変わるか

2017-09-15に公認心理師法案が施行され、2018-09-09には第1回目の資格認定試験が実施されます。公認心理師という国家資格ができることによって、医療保険の算定にカウンセリングや心理相談といった項目が創設されるのではないかという期待があります。しかし、本当にそれが可能なのか、可能だとしてどういう形になるのか、について書きました。

1.公認心理師資格の成立と保険適用

公認心理師資格の試験日が2018-09-09と公表され、さらに一段と公認心理師への着目度が上がっているようです。公認心理師ができたことによって、保険適用が叶うのでは、と期待もあるようです。おそらく、これまであるようなデイケアや認知行動療法、心理検査等の算定に公認心理師が加わることはありえるでしょう。

ただ、現在の日本における社会保障費の抑制政策からすると、新たな保険点数の項目が追加されたり、大幅な点数アップはおそらく難しいのではないかと思います。心理相談やカウンセリングといった項目が追加されることは困難でしょう。

もし仮に心理相談やカウンセリングの項目が幸運にも追加されたとしても、1回20分や30分といった短時間で、回数限定・期間限定になってしまうことは免れないと予想します。もちろん、そうしたものであっても部分的には恩恵を受けれるところもあるので、決して無駄であるとは思いません。

これまで精神科医療では、機関にもよりますが、臨床心理士がカウンセリングをして、カルテ上では医師が診察したかのようにして保険を請求しているところは多くあるようです。これはグレーというか、法的にはほぼアウトですが、行政は見て見ぬふりで素通りしているようです。

もし仮に公認心理師によるカウンセリングが保険適用になるとすると、これまで素通りされていたものが、実際の項目に沿って行われることになるのは当然かと思います。すると、長時間、長期間にわたって保険でカウンセリングを受けてきたのは法的にアウトということで実施はほぼ不可能になるでしょう。

まあ、もともとは法的にアウトだったのだから文句は言えないと思います。精神科医療の中でのカウンセリングは患者の治療を行っていく上で相当重要度は高いと思いますが、短時間で期間限定の制限があると、長期にわたってケアできず、それは非常にまずい状況でもあります。

2.長期間にわたるカウンセリングの存在意義

また、精神疾患の患者さんだけではなく、心の問題は長期にわたって取り組み続ける必要が時としてあります。特に心の本質に触れ、根本から変わっていく体験を得るためには長期のインテンシブなセラピーは必須といっても良いでしょう。しかし、それは医療では望めません。

すると、結果的に自費によるカウンセリングやセラピー、心理相談に頼ることになるでしょう。人が変化するというのは非常にゆっくりとしたスピードであるし、それは時には数年単位で必要になってきます。人の心の本質に触れる必要があるというのも長期間かかる理由です。

3.カウンセリングの二極化

おそらく今後は、カウンセリングは二極化していくと思います。一つは医療で提供されるような保険で支払える短時間・短期間の簡便なカウンセリング。もう一つは、自費による長期間のカウンセリングです。医療での簡便なカウンセリングで対応できない、満足できない人は後者での対応になるでしょう。

自費によるカウンセリングは地域にもよりますが、1回45分~60分で、5000円~12000円程度が相場ではないかと思います。それをある程度支払えるためには経済力が必要です。つまり、必要と思っても受けれない人もいます。経済格差、医療格差と言えるかもしれません。

また、さらに、今回の公認心理師のテキストや参考書を見ると、インテンシブなサイコセラピーをするというよりも、通常の常識範囲内の心理的ケアが業務となるようです。心理検査をしたり、短時間のカウンセリングをしたり、デイケアなどで対応したり。

4.心理療法の担い手について

そうだとすると、役割や資格として、簡便な心理ケアをする公認心理師と、インテンシブなセラピーをする心理療法士のような人と大きく分かれていくかもしれません。臨床心理士も昨今はアウトリーチやチーム医療、リエゾン等がもてはやされているので心理療法士の面は弱くなってきているようですが。

もちろん心理療法士という資格は現在はないですが。一部学会認定資格という形で、その療法に特化した資格を出している学会もあるので、部分的にそうしたところが担っていけるかもしれません。

公認心理師ができたことによって、我が国のカウンセリング業界、心理業界は再編されていくことでしょう。ある意味では危機でもありますが、危機だからこそチャンスでもあったりします。今後の自身の立ち位置を含めて、考えていきたいものです。自分には何ができ、何をしていきたいのか、と。

そして、いずれにせよ、自己研鑽は必要となってくるので、教育分析や個人分析スーパービジョンは常に受ける必要はあるでしょう。

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