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ビオンの「集団の経験」とグループカウンセリング

精神分析の要であるビオンがその初期の頃に書き表した「集団の経験-ビオンの精神分析的集団論-外部リンク」(金剛出版)について

集団の経験-ビオンの精神分析的集団論-

 精神分析の要であるビオンがその初期の頃に書き表した「集団の経験-ビオンの精神分析的集団論-外部リンク」(金剛出版)を読み始めた。

 ビオンが軍医時代におこなったグループカウンセリングの経験を元にし、あの有名な基底的想定の観点を世に出した有名な著作。

 非常に示唆に富み、事例素材も後期ビオンに比べると豊富に掲載されているので、面白い。ビオンにつきまとう難解さという感触は本書にはそこまでなく、意外と理解しやすい内容になっている。後期のぶっとんだ理論展開や高度に抽象化されてないからだろうか。

 おそらくまだビオンも精神分析家になる前のことだし、確かクラインとの訓練分析以前になるのかな。クラインとの経験以降、ビオンは飛躍的に、革命的に変化したから。しかし、ビオンは高校教師時代にも、戦車隊時代にも、軍医時代にも不遇な状況だったようで。

 高校教師時代にはセクハラ疑惑を着せられ、戦車隊時代には部隊が壊滅して死に瀕する体験をし、軍医時代にはグループセラピーの効果があるゆえにお払い箱にされてしまったから。特に戦車隊時代のことは後々まで悪夢に晒されたと聞いている。

 精神分析は単なる学問の理論ではないと思う。個々の分析家の生きた血肉であろう。そのためその分析家の生き様や生い立ちが大なり小なり埋め込まれている。なので、単に理論を学ぶだけではなく、個々の分析家の人生を読むことで生き生きとした理解ができるだろう。

 ビオンを読む前にビオンの生い立ちを、クラインを読む前にクラインの生い立ちを、フロイトを読む前にフロイトの生い立ちを知ることで立体的に分かることも多いだろう。

 大学や大学院でもそういう風に精神分析を講義できたらもっと精神分析アレルギーは減るのではないかと思うが。

公開:2017年1月21日 更新:2017年10月20日

読書   2017/01/21   北川 清一郎

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