カウンセリングにおけるスクールカウンセラー制度の功罪
スクールカウンセラー制度による功罪について書きました。
1.スクールカウンセラー制度の功罪の功
スクールカウンセラー制度が研究事業として発足してからもう20年ぐらいになるんでしょうか。患者さんの中にも学生の頃に、子どものころにスクールカウンセラーに相談したことのある人が一昔前よりも増えてきた印象があります。
こうしたことを考えると、世の中にはカウンセラーという職業があり、困った時には相談できる、カウンセリングを受けることができるという周知になっているように思います。世間の認知を向上させ、相談することやカウンセリングへの敷居を下げたということには非常に貢献したのだろうと思います。
2.スクールカウンセラー制度の功罪の罪
しかし、一方で、カウンセリングといいつつ、スクールカウンセラーの業務では連携やコンサルティング、リエゾンといったものが多く、いわゆる個人心理療法や個別のカウンセリングはあまりなされてはいません。心理療法やカウンセリングをすると、密室にこもって何をしてるか分からないという批判を受けてしまいます。それが臨床心理士集団の中でもそうした批判をしてくる風潮すらあります。なので、学生や患者さん、クライエントさんからするとカウンセリングとは困り事相談をする程度の認識しか持てないのも無理ないことかもしれません。
さらには、スクールカウンセラーのカウンセリングは基本的には無料です(学費や税金として間接的には支払ってはいますが)。そのため、カウンセリングは無料で受けれるものだという誤解を持ったままになってしまっています。
3.カウンセリングの価値
こうした事から、カウンセリングの認知度は向上したものの、カウンセリングは自費での支払いをもってしてでも受ける価値があるものという認識が向上させられなかったという側面はあるかもしれません。本当に価値あるものは、無料では得られないものなのです。日本のことわざにも、タダほど高いものはない、というのがあるぐらいですから。
ちなみに個人的な所感ではありますが、個人心理療法や個別のカウンセリングの軽視はこのスクールカウンセラー制度の発展と相関しているように思えなくもありません。そして、こうした軽視は教育分析や個人分析、スーパービジョンといった訓練の軽視にも繋がっているようです。
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