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精神分析的心理療法における外的構造について

 精神分析的心理療法を行う際の構造をどのように設定するのかは非常に重要です。一定の構造を維持するからこそ、その中で生起していることを観察し、関わることができます。ここでは料金、時間、頻度、座る位置、場所といった構造について書いていきます。

目次

  1. 料金
  2. 時間
  3. 頻度
  4. 対面とカウチ
  5. セラピーの場所
  6. 柔軟に構造を使用する

1.料金

 自分自身で開業している場合には、ある程度は自由に料金を設定できるでしょう。そうはいっても、必要経費を差し引き、どれぐらいの数の事例を抱えているのかによります。高い料金にすれば、来ることのできるクライエントは少なくなります。やすい料金にすれば、来ることのできるクライエントは多くなるでしょうが、忙しくなる割には収入が増えず、負担ばかりが溜まってしまいます。また、自由であるので、頻度によって料金を変えているカウンセラーもいます。週に複数回のセッションを持つときには、ディスカウントすることもあったりします。生活保護や低所得者には割引している場合もあります。逆に隔週以下の頻度では割高にしているカウンセラーもいます。

 しかし、自由の中の不自由ということではありませんが、自由に料金設定ができるからこそ、さまざまな逆転移によって、無意識のうちに料金を恣意的に動かしてしまう場合もあるかもしれません。このクライエントとは長くセラピーをしたいので安くしよう、このクライエントはなんだか合わないので高くしよう、等です。

 民間や公的な機関に所属している場合には一律に料金が決まっているので、あまりあれこれ頭を悩ませなくても良いかもしれません。ただ、そのことで不自由であったり、セラピーに悪影響があったりする場合もあります。たとえば、難しいのはセラピーの料金は無料の場合です。クライエントにとっては無料だと懐には優しいでしょう。しかし、責任をもって自身の問題に取り組むということが費用を負担している時よりは低くなってしまいます。お金を払うからこそ、そこに不満や憎しみを持ち込むことができます。無料(もしくは低料金)でセラピーをしてもらっていると、遠慮をしてしまい、言いたいことが逆に言えなくなってしまうからです。

 そして、キャンセル料も重要です。できるならとる方が良いでしょう。なぜなら、キャンセルにはそれなりの意味がありますが、キャンセル料を支払うことで、そこに何らかの不満と憎しみを持ち込まれます。そして、その背後にそのクライエントなりの葛藤が垣間見れるため、積極的に、直接的に扱っていくことができるのです。

2.時間

 平均的には1回のセラピーは45~60分であることが多いでしょう。この時間設定には特に根拠があるわけではありませんが、慣例的にそうなっていることが多いです。ちなみに、ウィニコットやローゼンフェルドは1回90~120分でセッションを行っていたこともあるようです。ただ、1回のセッションでの深まり具合や、集中力の持続などから考えると、45~60分は妥当のように思います。

 遅刻や延長という設定外のことが問題になることはしばしばあります。遅刻することや早退することについて、クライエントは1セッションの時間をお金で買っているわけなので、遅刻しようが、早退しようが基本的には問題はありません。たとえ1分しかセッションをしなかったとしてもクライエントが選んだことだからです。しかし、その選んだことにも様々な葛藤や力動が働いていることでしょう。そのため、カウンセラーの役割は遅刻や早退をさせないようにすることではなく、そうしたあり方を理解しようとし続け、解釈することです。

 ただし、時間の延長については、カウンセラーに責任の一端はあります。延長しようとするのはクライエントですが、それを許容するかどうかはカウンセラーです。カウンセラーは時間が終わりになれば、クライエントが話している途中であったとしても遮って、終了を告げても良いでしょう。最初はそういうことをすればクライエントの怒りを買うのではないか、不満を持つのではないか、次に来なくなるのではないかという不安をもち、遮れないこともあるかもしれません。しかし、時間を規定以上に延長させることはクライエントがワガママをいうことを許しているということであり、それは極端にいえばクライエントの責任を認めず、子ども扱いしていることになります。また、終了を伝え、話を遮ることで何らかの反応があるなら、それは同様に解釈することで扱っていく方が治療的になります。不満を感じさせないよりも、不満を感じ、それを解釈することの方が治療的効果があるでしょう。

 あと、1セッションの時間の使い方ですが、今後の予定変更や料金の受け渡し、連絡事項など、セラピー外の事務的なことに関する話はセラミックの一番最初にしてしまうと良いと私は考えます。そうすることで中身の話に十分に没頭できるからです。最後にそういう設定や事務的な話をすると、一番最後にクライエントが「今日でセラピーを終わろうと思っていました」や「明日は予定があるのでお休みで」などを言われて、扱うに扱えなくなってしまうことになります。

3.頻度

 セラピーの頻度について、最近では週1回という頻度でさえも設定するのが難しい場合が増えているようです。それは経済的に費用を捻出するだけの収入の低さ、その割には仕事が忙しくなっていることが主な理由かもしれません。もしくは、それだけの労力と費用とエレルギーをかける価値をセラピーに見出していないということもできるかもしれません。

 それでも、もし力動的なセラピー、精神分析的心理療法を行うのであれば、最低でも週1回以上の頻度は必要になるでしょう。可能であれば、週2回以上の頻度を設えてみても良いかもしれません。やってみると分かりますが、やはり週2~3回の頻度となると、その密度は濃くなり、見えてくるものが違ってきます。また体験と関係性のあり方そのものの質も変わってくるように感じます。週4回以上の頻度によるセラピーは私には経験がないので分かりませんが、おそらくさらに密度は濃いものとなってくるでしょう。料金のところでも述べましたが、もし週複数回のセッションをするのであれば、料金の面で少し割引しても良いと思います。

4.対面とカウチ

 おそらく、日本で行われているセラピーはほとんどが対面形式であると思います。90度対面法であったり、180度対面法であったりと、その変法はあるでしょうが。いずれにしても、面と向かっているとお互いの姿が視界に入り、そこには少なからず緊張が生じます。さらに、相手の反応を気にしながらの言動となってしまうので、意識の側面が多く入り込んでしまいます。そして、コミュニケーションを取ることに力点が置かれてしまいます。つまり、精神分析に必要な自由に連想し、それをつぶやくということが難しい設定が対面法なのです。

 カウチ設定にすると、その点について非常に自由になれますし、緊張も少なくなります。やってみれば分かりますが、クライエントがカウチに寝て、カウンセラーがクライエントの視界に入らない背後にいると、非常にたくさんのことを空想したり、連想したり、物思いにふけったりすることができるようになります。そうしたことが精神分析的にセラピーを進めていくためにはとても重要になってきます。

 ただ、病理水準が重たいクライエントや、行動化が激しいクライエントの場合には、悪性の退行を呼び起こす場合もありますので、注意は必要かもしれません。

5.セラピーの場所

 セラピーをしている場所がどういうところであるのかがセラピーの中身に大きく影響します。たとえば、病院やクリニックの場合には病気や障害を治すことが求められます。学校や教育現場であると学習能力の向上や、集団に適応することが求められます。産業や会社の中では、パフォーマンスを維持・向上することが求められ、司法では社会適応が求められます。いずれも、その場所特有の目的・目標があります。そして、それらのほとんどは精神分析で求めていく目的・目標とは食い違ってしまったり、悪くすると対立したりしてしまいます。

 そうしたことを考慮せず、それぞれの現場で精神分析を行おうとすると、様々な不具合が出てきてしまいます。作業同盟ということを取り上げるまでもなく、目的が食い違っているのだから、カウンセラーとクライエントが協働して、精神分析的な作業ができないことは明白でしょう。しかし、そうした現場であっても、クライエントは精神分析の目標を達成していきたいと希望することもあるかもしれません。それでやっていけなくもありませんが、現場を覆う雰囲気のようなものが直接・関節に入り込んできます。

 フロイト以来、精神分析の実践の場所はプライベートプラクティスです。つまりは開業なのです。そこにこそ、どの組織にも縛られられることなく、自分を探求していくことができるのです。

6.柔軟に構造を使用する

 以上が精神分析的心理療法を行う際に設定しなければならない構造となります。しかし、こうしたことを教条的に、必ず守らなければならないということではありません。各現場によってはどうしても動かせない構造もあるでしょう。大切なのは、今ある資源や構造を可能な範囲で精神分析的な構造に近づける努力をすることです。また、クライエントによってはこうした構造を揺さぶり、破壊しようとしてきます。できるだけ構造を維持することに労力をさくことは必要ですが、それ以上に、そうした事態に陥っている理由や背景について思いを巡らし、理解していくことが大切になります。

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公開:2020-03-16 更新:2020-06-16
論考  北川 清一郎

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